症例

負けながら勝つ

以前から、耳鳴りに関しては中々治らないので、色々と書いている。先日、Bi-Digital O-Ring Test医学会の国際学会があり、いい機会なので耳鳴りの論文を1本書いた。最近は簡単に論文検索ができるので、時間さえあれば何とか形にはすることが出来る。調べてわかったことは、「耳鳴りの原因で検索すると20-30も出てきて、結局は本当のことは誰も分かっていない。そして治療法も同じく存在していて、成績…

健康管理と予想

常連さんがいつも飲んでいるアロエを飲み忘れ、少し便秘で足まで硬くなった。この話を聞きながら、「僕はバイクが趣味でそのの最大の面白さは予想です。前を走っている車が急に止まったら…とか、車線を変更したら…とか常に予想しています。だから今のところ事故はありません。バイク事故のほとんどは、『車がこんな動きをするとは思わなかった』です。私から見ると予想が足りないのです。身体も一緒で、アロエをやめたら何が起こ…

最終診断

仕事柄、色々な病気を持った人を専門病院に送っている。耳鼻科なら神尾記念病院、甲状腺なら伊藤病院、目なら井上眼科病院、肝臓なら虎ノ門病院、がんならがん研有明病院、婦人科なら愛育病院、と大体定番がある。では何故定番かというと、数ある病院の中でも、「あそこが何と言った」が最終診断になってしまう。がんなら「がん研が何と言ってる?」甲状腺なら、「伊藤先生は何と言ってる?」でほぼ決まってしまう。勿論人間のやる…

薬はあげるものでももらうものでもない

以前ブログで、人からもらった薬で具合が悪くなった人の話を書いた。内容はあるおばあちゃんが医者から、「これを飲むとよく寝られる」と言われ、実際効いたので、不眠で困っている友達に親切心であげたら、それをもらった友達が飲んだ後、具合が悪くなってしまった。薬を調べたら、睡眠薬ではなく、血圧を下げる薬だったという話である。今日来た新米ママは少し不眠やイライラがあり、母親から、「私が飲んで効果のある漢方薬をあ…

不便で目立たないことが身の安全を守る

若い頃は出張仕事もしていたので、港区や渋谷区の地理には詳しい。元麻布や松濤などの高級住宅地は基本的に交通の便が悪い。電車の駅はないし、車生活になってしまう。何故もっと便のいいところに引っ越さないのか疑問を持っていたが、仕事をしながら住んでいる人の声を聞くうちに理由が分かってきた。それは交通の便が悪い方が多くの人と触れることなく安全なのである。よくこんな細い道の奥に家があるのと思うことがあるが、門か…

必要な「バカ」

普段は夜の8時まで仕事をしているので、夕方の5時や6時ぐらいから酒を飲むことはないが、定休日に新橋とか行くと、午後の6時なのにもうサラリーマンが顔を真っ赤にして出来上がっている。聞くとはなしに耳を傾けると、「バカ社長」「バカ部長」の話ばかりで、建設的な議論は余り聞こえてこない。そういう方達を見ていると、この世でこんな幸せな事はないと思ってしまう。このバカ部長だがもし組織が優秀な人ばかりだと自分が劣…

身体を痛める治療

常連さんがZoomの会議ばかりで忙しく、上半身のこりがとれない。話を聞いたら、以前のように出張があると適度に息抜きが出来るのだが、Zoomになってしまうと連続で会議が入ってしまい、息つく暇もないという。今ほど忙しくない時には、適度に外出をして気分転換をしていたが、今はそんな事は出来なくなってしまい仕事だけだという。これでは上半身にばかり血が集まり、こりが取れるわけない。一つの解決策として、脚を叩い…

しゃぶしゃぶについて

私自身、食通ではないので偉そうなことは何も言えないが、患者さんの話を聞いていて、何時もしゃぶしゃぶの話には疑問を感じている。「しゃぶしゃぶの締めにご飯、うどん、餅を入れて一粒も残さず食べるのが最高」という話を聞く度に、「何のために肉の脂を落としたの?」と思ってしまう。本来肉は炭火で焼けば、カルビがロースになり、胃もたれせずいくらでも食べられる。本来胃はタンパク質の分解は得意で、油が入ると途端に疲れ…

子供からうつる胃腸炎

常連さんがかなりひどい下痢をしたという。正露丸を4錠、日に3回飲んでも効かず、困ったという。しかし食事に関しては全く思い当たることがなく、原因がわからないという。胃炎に関しては梅干しが効き、何故か下痢に関しては薬膳カレーが効いたという。この話を聞きながら、「子供からうつるウィルス性の胃腸炎?」と思い話を聞いたら、「下痢をした日に子供達と接した」と言う。ロタウィルスかノロウィルス、アデノウィルスかは…

医者が先

常連さんの中には、例えば首が痛くても医者に行かず、まずうちに来てしまう方がいる。「ちょっと先生に診てもらって、ダメなら医者」と思っている。しかしこれは逆である。首の痛み一つ取っても我々は色々な原因を考える。10個ぐらいは頭に浮かぶ。医者で調べていないと、その原因を考えながらやるのでとても範囲が狭く、安全性の高い治療しか出来ない。しかし医者で調べてあると、10個ぐらいの原因の内8個ぐらいは除外できる…

悩み方が下手-1

今日来た患者さんとしゃべっていて、「悩み方が下手」と感じた。本来悩みは「時間をかければ出来るもの」と「時間をかけても私には出来ないもの」に分けるとわかりやすい。先日も肩を痛めた方があまり通えず、すぐに治したいというので、専門医を紹介した。当院でのんびりやってもいいのだが何せ時間がかかるため、本人の希望を優先した。そうなるとその肩のことで悩まなくていい。肩以外を治療すればいい。出来ない問題は早くでき…

学会で感じること

いくつかの学会に所属しているので、今の時期はほぼ毎週、学会で潰れる。長年学会に出ているといくつか感じることがある。それは「教えてください」と「あなたのご意見をお聞かせください」である。学会で発表するには準備も大変で、満を持して臨むわけだから、発表後に何か質問されても大抵は答えられる。しかし中には意地悪な質問があって、「先生のご発表の○○は間違っている」という意見も出る。発表した方は、「え、こんなに…

セールスマンは何でも売れる

これは以前テレビで聞いた話だが 自動車のトップセールスマンが、月に何台も車を売り その売る秘訣を部下から聞かれ、「とにかくお客様の役に立つこと」と答えたと言う。しかしあまりに当たり前の言葉だったので、部下はがっかりしたという。 では具体的にはどういうことかというと、まずはじめにお金持ちに1台車を売りその奥様に、「どんなことでも言ってください。すぐ飛んできます。時間外でも正月でも大丈夫です。」と伝え…

手術のおまけ

常連さんが不整脈で、アブレーションという治療を受けた。 アブレーションはあまり聞いたことがないだろうが、不整脈の治療で、足の付け根からカテーテルを入れ、その先端から高周波出して悪い部分の細胞を凝固壊死さてしまう治療である。 多少の再発率はあるものの、心房細動は1回のアブレーションで約80%の患者さんが治る。 その患者さんは心臓の働きが悪かったので、左首から体外式のペースメーカーを一時的に入れたとい…

腰痛で下半身を鍛えて悪化する場合

地方から常連さんのお父さんが来た。以前腰の手術をして、少し大変な思いをしたが、今はなんとかなっているという。以前からこの方は庭いじりが好きで、家庭菜園から花壇、芝までちゃんと管理している。腰の手術のあとはちゃんと運動をしようという気になっていると思うのだが、身体を診たら、上半身ばかり使っていて、下半身の筋力が低下していた。これには本人も気がついて、「腕相撲では若い者に負けないが、ジーパンがぶかぶか…

鬱病と鼻炎

鬱病の人がよく来るようになってから、20年ほど経つ。 普通は鍼灸院に鬱病患者は来ないから、初めは何をやっていいかわからなくて、取りあえず首のゆがみと頭をもんでいた。段々とBi-Digital O-Ring Testで全身を診るようになってから、コツがわかるようになってきて、最近では患者の病態が、手に取るようにわかるようになってきた。 最近は鬱病のプログをよく書いているので、それを見てくる方もいる。…

膝痛と生理痛

常連さんがいつもの膝痛を訴えてきた。また少し無理をしたのだろうと思って大腿四頭筋(太腿)を治療したが全然ほぐれない。大腿四頭筋は自覚は出ないし、この筋肉が固くなると膝や腰痛が出る事は以前から書いてる。これはおかしいと思って、反対側の大腿四頭筋を触ったら同じように堅い。長年仕事をしていると筋肉君と会話できるようになり、筋肉君にほぐれる気持ちがないことがすぐにわかった。これはハムストリング(太腿の裏)…

健康法の最高戦略は予防

孫子の兵法に「戦わずして勝つ」とあるのは有名である。これを病気に当てはめたら、「症状を出さずに封じ込める」であろう。 では本当にそんな事が出来るのであろうか?もちろん全員に出来るわけではないが、かなりの確率で出来ると言いたい。一番わかりやすいのは、慢性腰痛患者の場合である。 仕事柄、患者さんの身体には驚くほどの情報が隠されている事を知っている。年数を重ねるたびに、体の反応が何を意味しているのかがわ…

サプリの値段

今日来た常連さんは、「膝にグルコサミンやコンドロイチンは効くの?」と聞いてきたので、「どう考えてもその成分が膝にいくとは考えにくいです。まず胃酸で分解されちゃうし、患部に注射で打てばいいかもしれませんが・・・。」と言ったら、「え、分解?そうなの」と少し驚いた顔をしていた。続けて、「あういうサプリはまず値段から決めるのです。大体3000円なのです。ではテレビで大々的にコンドロイチン、780円と言って…

だからこんな体になったのです

最近は減ったが、昔はよく「俺は若い頃は本当に人の2-3倍働いた」と自慢していた社長は多かった。そんな時には必ず、「だからこんな体になったのですよ」と言う。社長は怪訝な顔をするが事実である。以前から、「病気は仰山にしろ」「我慢弱い」「すぐに根をあげろ」「御身大切」と言い続けている。なぜこんなにこだわるかというと、若い頃に無理をして、年を取ってどうにもならなくなった方ばかり診てきたからである。若い頃に…