症例

治療は「気づき」、患者は「悟り」

この言葉は以前、歯医者と酒を飲んでいて教わりました。話は私のマウスピースから、「先生、マウスピースは僕もつけているのですが、硬いとちゃんと噛み合わせが矯正されてとてもいいです。だから柔らかいマウスピースでは、矯正にならないから意味が分かりません。」と言ったら、「マウスピースの本来の目的は気づき、だから噛み合わせ異常に自分で気がついて、嚙まないようにするのが目的。だから柔らかくてもいいの。」と言われ…

お金持ちと研究熱心

仕事柄、Bi-Digital O-Ring Testをやっていると、「先生、私は身体に一番いい健康食品を探しています」と言う方は多い。気持ちは分かるが、方向性が少し違うのではないかと感じることがある。以前から、「鼻」「歯」「腸」で難病治療と書いている。これは難病に限らず、身体を良い状態に保つために絶対必要なことと解釈して頂いてもいい。鼻や腸を治さず、健康食品だけ追いかけるのは間違いと言いたいわけで…

終の棲家の探し方

年配の患者さんを治療していると、時々終の棲家の話が出る。生まれ育った田舎に帰る人もいれば、新天地を求める方もいるだろう。そんな時、参考にして欲しいのが、「土壌菌」である。どういうことかというと、私の場合、群馬県で生まれ18才までそこで育った。当然群馬の土壌菌で出来た野菜を食べて育ったわけである。それが自分の身体に最高かどうかはわからないが、腸内細菌はそうやって作られたことは間違いがない。だから、色…

良きに計らえ

この言葉はテレビなどでよく殿様が家臣に言っている。 これは、「あなたの判断力と裁量に任せるので、状況に応じて良いように、うまく処理してください」という意味だ。 さてこの「良きに計らえ」ですが、治療にも当てはまる。 今日、来た骨折の患者が、「前回より折ったところが痛む」と言うので調べたら、前回は腰が痛く折ったところが目立たなかったが、今回は腰が楽になり、患部が目立つようになっていた。この患者の骨折部…

痛みを8割取るより残り2割の痛みを取る方がはるかに難しい

仕事柄いつも、痛みを8割取るより残り2割の痛みを取る方がはるかに難しいと患者には言っている。では残り2割の痛みの治療だがどうしたら良いのだろうか。おそらく分類すると下記のように3つのパターンになると思う。 「残り1割の痛み、さあどうするか」でも書いたが、だらだらでもいい、治療を継続することにより数年後に完治に近づくケース 患部の痛みより周辺の環境を整えないと良くならない場合で答えが出ればいいが、最…

お年寄りとの会話

長年治療をしていると、特に年配者との会話で面白い事が起こる。「腰のどこが痛いの?」と聞くと、「ここここ」と言われ、そこに鍼を刺すと、「違う」と言われる。「え、じゃここ?」と言って触ると、「違う」と言われ、こちらも経験があるから、おそらくこのへんに反応が出るはずだと思い治療すると、「そうそうそこ」と言われる。「でもあなたが痛いと言った場所はここですよ」と触ると、今度は「そこじゃない」と言われてしまう…

残り1割の痛み、さあどうするか

尾骨痛の患者が色々な先生にお世話になり、痛みが9割取れ、残り1割だと言う。普段の生活に支障はないし、我慢は出来るが、完治はしていない。こういう場合、どうしたら良いのだろうか。我々は長年の経験があるから、「時々でもいいから治療を続けなさい」と指導している。それは以前、「だらだら治療するのが1番」と書いたが、患者にしてみたら残り1割だが、我々にしたらまたその痛みに勢いがついて、悪化することは容易に想像…

人の治め方

これは以前聞いた話だが、とても思い出深いのでお話したい。 例えば患者から、「これだけ通っても全然良くならない。」と言われればほとんどの先生は、「私だって一生懸命やっています」と答えるだろう。しかしその先輩は、「そうですよね。良くなっていないですよね。私も困っています。どこか良い所知りません?私も腰が悪いので私が知りたいぐらいです。教えて下さい。」と言って、その後「良かったら一緒に探しましょう」と言…

その痛み、本当の原因はそこじゃないかも?

このタイトル、「その痛み、本当の原因はそこじゃないかも?」はnotebooklmという、AIがつけたタイトルです。最近医学会ではもうAIが大流行りで、論文検索からパワーポイント制作、要点のまとめなど何でも出来てしまうので、その進化に日々驚いています。notebooklmはとても優れもので、当院の2000以上あるブログのデータを全て入れ、「画像で何か出して」と命令したら、「その痛み、本当の原因はそこ…

満腹と腰痛

常連さんが食べすぎで腰の治療をしている。以前から胃と腰の関係は何度も話をしているが、満腹の満足感を我慢してまで、腰を優先するかというと中々そうはいかない。我々から見たら、相当酷い腰痛を味わい、食べ過ぎた途端に腰にズキンとくれば、かなり摂生はするだろうが、満腹まで食べて少し腰が重いぐらいだと中々過食は止まらない。腰は痛くないのが当たり前で、過食は心の満足である。腰が痛くなくて心の満足を感じる方は相当…

その症状はいくら調べても無理

最近紹介で来る患者は症状をこじらせている方ばかりである。 良くならない坐骨神経痛の原因が子宮筋腫だったり、原因不明の発熱や治らないドライアイの原因が鼻炎だったり、足の痛みの原因が骨ではなく関節の一部や歯痛だったり、指の痛みの原因が血管だったり、取れない首の痛みの原因が腕だったりと、皆さんがいくら自分で調べようとしても、調べられるわけがないと思ってしまう。 例えば私みたいに料理音k99痴で、カレーも…

最近は仕事が道楽

最近は長年同じ仕事をしているせいか、仕事が道楽になってきた。理由を考えたら、仕事で迷いがないからだと気がついた。 20年ほど前は、何でも自分で治そうと治せない患者を引き留めたりしたが、段々自分の実力が分かってきて、治せない患者は治せる医者に回すと決めてから極端に楽になった。そして自分はここまでできるが、あとは専門家と割り切れるようになり、益々楽になった。 難しい患者を抱えていて治らないと、「あそこ…

関連痛

聞き慣れない言葉かもしれないが、我々の世界では普通に使う言葉である。 一番わかりやすいのは、歯が痛いときに頭まで痛くなる。これは三叉神経が関わっていて、何となく体験することがあると思う。 先日も喉の違和感のある方がどこの耳鼻科に行って内視鏡で診てもらっても治らず、Bi-Digital O-Ring Testで調べたら、歯痛との関係がわかり、歯医者に送った。 以前から医療は縦割りでその隙間に落ちてし…

医療連携は必須

以前からブログで、難病は鼻炎が治らないと難しいとか、難治性の痛みにはモヤモヤ血管が関わっているとか、神経ブロックではなくファシアハイドロリリースなど、さまざまな角度から治らない病気の話を書いている。その都度感じているのは、「医療連携は必須」ということである。 患者が頭痛持ちで、頭痛外来で良くならない場合は、必ずEAT(Bスポット療法)を勧める。そんな時、耳鼻科の先生を知らなければ紹介ができない。患…

もしかしたら首の再手術、免れるかも

今日紹介で来た方は、頸椎狭窄症で手が痺れ、手術をしてもらったが全然よくならず、担当医から再手術の話が出ているという。身体を診たら、ヘバーデン結節の強い痛み、慢性鼻炎で首のこり、顎関節症による首のゆがみがあり、全ての症状が首へ悪影響を与えていることがわかった。こうなると一つずつ悪い所をなおせば、首の再手術は免れてしまうのではないかと思ってしまう。 まずヘバーデン結節だが、これは手の痛みが首や肩にどれ…

ネットで検索しすぎて泥沼に

以前ブログで、「調べれば調べるだけ難病が出てくる」と書いた。これだけ情報が溢れていると、中々今の自分にふさわしい情報だけ取捨選択することが出来ない。 調べることに熱心になると病気の場合は必ず、難病が出てくる。 例えば咳をしたとする。「長引く咳」で検索すれば、「気管支炎」「間質性肺炎」「肺がん」と次から次へと難しい病気が出てくる。すると患者は1つ咳をしただけで、「肺がんかしら」と感じてしまう。確率的…

鼻炎の反応点

以前から、鼻炎特にEAT(Bスポット療法)の話は書き続けた。難病治療のコツは鼻だと思っている。最近あるセミナーで、「首の後ろに鼻炎でよく反応するツボがある」と聞き、それ以来患者を注意深く調べたら、確かに反応する点が存在する。我々鍼灸師にとっては「風池 ふうち」というよく使うツボだが、最近では触っただけで、「あなた、鼻炎あるでしょう」と言えるぐらいツボの反応の仕方がわかってきた。実はこの事は大きい。…

患者は褒め育てる

先日常連さんから、「先生、最近患者は褒めないとダメなんです。先生みたいに、あそこが悪いだけではなく、少し良くなったねぇと褒めてあげると患者は嬉しくて育つのです。」と言われ、「え、そうなの。私は冗談は言うけど事実以外言わないからなぁ。」「それがダメなんです。気は心と言うでしょう。余り良くなくても、必ず良くなるから大丈夫と言ってあげるのです。そうすれば通っていて良くなるなら頑張ろうと思うものです。先生…

chat-gptで医者いらず?

最近のAIの進歩は目を見張るものがある。少し前までは、「AIはそう言ってるけど正しいの?」と思っていたが、最近はその精度がかなり上がり、我々が十分仕事で使えるレベルになってきた。 学会での論文検索や比較、まとめなどボタン一つで出来てしまうから、今までの大変な思いをしたのは何だったのかと思ってしまう。 論文に関しては査読(本当に正しいかを調べる)まで出来てしまうから楽である。 先日も当院の2000本…

周りから攻め患部が治る仕掛け作り

昔から名人と言われる先生の治療は良く見学した。そういう時いつも感じることは、「そんなに弱い刺激でいいの?」という事ばかりである。「そこまでやるんだ」という感想より、「そんな刺激で効くの?」と感じていた。この仕事を45年続けてわかったことは、「名人と言われる先生は患部を直接刺激するというより、周りから攻め、患部が治る仕掛けを作っている」ということである。言葉で言うのは簡単だが、この「患部が治る仕掛け…