右膝を怪我した場合は右脚に体重がかけられませんから、左脚に負担がかかります。その状態が続くと支えている左脚が根を上げて腰に痛みを出します。ですから右膝痛で腰痛が出た場合は左脚の負担を取ってあげれば治ります。言われれば当たり前の話ですが、右膝痛の場合にどうしても右膝を治療して欲しいという要求が強く、右膝の治療は必要ないといっても少しでいいから治療してほしいと言われてしまいます。気持ちとしてはわかりますが、何とかこれをわかりやすく説明しようと考えた結果、体の中の父ちゃん母ちゃんの話をしています。右脚が怪我をした父ちゃん、左脚が頑張っている母ちゃん。父ちゃんが怪我をしていないときは夫婦仲良く、何も問題は起こりませんが、父ちゃんが怪我をしたら働けませんので、母ちゃんが頑張って働く。家事もこなすとなると母ちゃんは大変です。そういう場合、動けない父ちゃんを治療するより、2倍動いている母ちゃんを治療した方がいいでしょう。父ちゃんは休んでいるだけですから、疲れていないのです。しかし母ちゃんが何処までも頑張れればいいですが、限界を超えると周りに当たり散らし大騒ぎになるわけです。それが腰痛です。そんな時に休んでいる父ちゃんを治療しても何も変わりません。限界を超えた母ちゃんを鎮めるしか方法がありません。母ちゃんが鎮まらなければ鎮まるまで母ちゃんを治療し続けます。母ちゃんが納得してくれれば腰痛は治まります。これは脚だけではなく、右腕と左腕、腕と首、背中とお腹などいろいろな場面で体の仕組みを考えるときに出て来る話です。以前に「心臓と嫁の関係」や「子供不良理論」を書きましたが、全く同じ現象です。痛いところと悪いところ、治療しなければいけないところは全部別です。 これが治療をむずかしくしています。我々はそこの謎を解く勉強しているのです。 まるで神様とチェスをしている気分です。 「今回のこの痛みはここが原因か、気づかなかった。」 「こんなところが影響していたのか・・・。想像もつかなかった。」
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