月に何度かレースをこなしているセミプロの方が、珍しく調子が出ず、腰が重かったという。調べてみると右腰、右股関節、右ハムストリングだけ硬い。余程走り方を変えたのか聞いてみたら、普段と変わりがないという。おかしいと思い肩甲骨を調べたら、右だけ動かない。胸筋も調べてみたら、右だけ痛がる。これは呼吸器の炎症だと思い聞いてみたら、レースの前後、咳が止まらなかったという。咳の反応が胸の前に出ている。普通は左右差はあまりないのであるが、咳が出る前に何かの理由で右だけ負担がかかり、その後咳や胸筋の緊張で、右の肩甲骨だけ動かなくなってしまったものと想像出来る。肩甲骨と腰は一枚の筋肉で繋がっているから、そうなると右腰に負担がかかる。そんな状況で走ったものだから、右股関節とハムストリングだけに負担がかかったことが判明した。中々珍しいケースだが、足からの左右差ではなく、咳からの左右差である。レースをしなければ右腰痛は起こらなかったであろうが、全身を拝見してようやく原因を突き止めたので、あまりの身体の微妙な関係に、益々身体の構造に魅力を感じた。
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