常連さんの友人が若くして膵臓がんで亡くなったという。海外勤務続きで時々は背中が痛いと言っていて、帰国後検査をして膵臓がんとわかり手術をしたが、手をつけられずすぐ閉じたという。千代の富士や坂東三津五郎、スティーブ・ジョブズや竹田圭吾さん皆膵臓がんである。他のがんに比べ見つけにくく、転移しやすく、治療しにくく、生存率が低い。超音波診断装置でもなかなか分かりにくく、CTも造影剤の問題で毎年というわけにもいかない。MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影法)やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)、EUS(超音波内視鏡検査)という検査をまめにやれば良いが、中々知っている方は少ない。自覚症状も殆どなく、腹痛、黄だん、腰痛、背中の痛み、食欲不振、体重減少などがあってもすぐに膵臓と結びつけられない。殆ど見つかったときは末期となってしまう。ではどうしたら良いか。私が個人的に勧めているのは、「先祖を調べて集中的に検査」する方法である。この常連さんのお父様が肺がんの末期で咳が止まらず来ていたが、息子さんには「あなたも将来肺がんになるという想定で治療します。免疫力や粘膜の問題、食生活、検査する方法などゴールは肺がん予防です。」と伝えて現在も治療中である。亡くなられた方は背中の痛みが取れなかったと聞いたが、その状態になるまで色々と辛い症状はあったはずである。多少の知識があれば結果は違っていたかも知れない。しかしその症状を残念ながら膵臓がんと結びつけることが出来なかった。その方のご先祖に膵臓を患った方がいたかは知らないが、自分の身体は先祖のコピーである。難しい病気の予防は先祖の病気を調べて戦略を立てるしかない。私の父は83才で肺がんになったが、この年齢ならそんなに予防はしなくてもと思ってしまう。もし70才ぐらいで発症していたら、今から一生懸命乳酸菌を飲み検査を真面目にしていると思う。先祖を調べ、戦略を立てて、予防するという考え方をあまりに聞かない。少し拡がれば、「こんな病気になるとは思わなかった。」と言う患者を減らせると思う。
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