サザエさん検証

以前、ブログで、「究極の幸福 サザエさん」を書いた。このサザエさんだが色々な問題と示唆を含んでいて実に話が色々な方向に展開する。仕事柄、年配の方で孫の話をよく聞く。「あまり大きな声では言えないんだけど、息子の子と娘の子は全く違う。頭では同じ孫とわかるがこれは気持ちの問題。」これは中々微妙な問題である。仕事柄患者さんと話し込むことはしょっちゅうだが、男親にはわかりにくい、微妙な母親の気持ちがある。おじいちゃんにすれば息子の子も娘の子も同じ孫。おばあちゃんはそうではない。息子の子は「嫁の子」。娘の子は自分の孫。こんな話を何度か聞くうちにいつもサザエさんを思い出す。サザエさんはフグ田マスオさんと結婚して、親と同居している。話は一般家庭のように描かれているが、以前調査した方がいて、「世田谷の桜新町であの広さの家は最低でも100坪位。一軒家で庭があり、2階建て、リビングは広いし、皆部屋を持っている。最低でも1億5千万円。磯野波平さんの収入は最低でも3000万~5000万円。一流企業の社長クラス。フネさんは仕事をしていないし、サザエさんも働いている様子はない。マスオさんは家にお金を入れているかもしれないが、波平さんだけの収入でしょう。極めてアッパーなお宅の話です。」と言う話を聞いて、思わず笑ってしまった。以前桜新町の長谷川町子美術館に行ったとき、どうせ館内はサザエさんの漫画ばかりだろうと思ったら、サザエさんの絵は入口だけで中は洋画ばかり。係の方に話を聞いたら、「長谷川先生は洋画のコレクターでとても展示しきれない。」と言っていた。そういう先生だから一般家庭を描くのも少しレベルが高いかもしれない。それはさておき、このサザエさん、親と同居で婿殿はおとなしい、弟妹もいて自由気ままに生きられる。タラちゃんの子育てもフネさんやいざとなればワカメもやってくれる。カツオなどは良いように使われるに違いない。サザエさんの天下である。おそらく長谷川先生は、「女性の究極の幸せはこういうものですよ。色々な苦労はあってもこの環境が一番良いのですよ。」と言いたかったのではないだろうか。フネさんは娘の子、タラちんと暮らせ、マスオさんはおとなしいから、婿を大事にしてとてもうまくいく。波平さんは妻がいて子供がいて、孫とおとなしい婿に恵まれている。カツオ・ワカメも多少うるさいお姉ちゃんだが、タラちゃんは可愛いし面倒を見やすい。タラちゃんは親、おじいちゃんおばあちゃん、叔父(カツオ)叔母(ワカメ)になついている。マスオさんは多少控えめな感じはあるが、家庭は任せられるから安心。誰を取っても究極の幸福が描かれている。これが亭主の実家ではこうはいかない。すぐに嫁姑の問題になりそうである。親も年を取り、介護の問題になれば、「嫁に面倒を見てもらうのは嫌。」と言う方も多いのではないだろうか。娘なら、「お母さん又やっちゃったの?しょうがないわね。」「何言ってるの、この何百倍もあなたのしもの世話をしたわよ。」で終わり。やはり血のつながりである。考えれば考えるほど奥が深い、「サザエさん」である。日曜日の夕方の定番であるが、永遠にこの日常生活を描いた話は続くのではないだろうか。ネコのタマの幸福も格別である。

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