漢方では痔の治療に頭のてっぺんのツボ(百会 ひゃくえ)を使う。学生時代に何故そんなところを使うのか不思議で色々な先生に聞いたが、「昔から効くんだから。」「頭を刺激して痛みが和らぐ。」「反射」などと言われ、明確な答えを教えてもらえなかった。臨床を重ねるうちにどうも頭の血流を上げ、自律神経の調整や反射がかかわっているのではないかと思うようになった。患者さんを診ていると頭の血流剤を飲んでいるうちは痔が治まる方がいる。痔が治ったわけではないが、つらくなく過ごせる。そして血流剤を飲まなくなると痔が辛いと言い出す。本人は頭の血流剤と痔の関係を知らないから気にはしていないが、われわから見ると明確に関連している。こういう解釈の仕方は東洋医学ならではなので、西洋医学的には理解して頂けない。全身の状態を観察しないと治らない患者さんが増えてきているので、やがては「ホリスティック医学(身体全体を診る)」が台頭してくる。デカルトが「心」と「身体」を分け、細分化して医学は発達したが、少しずつまた統合医療的な流れが出てきている。丁度振り子が片方に大きく振れて戻るようである。益々今後が楽しみになってきた。
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