ここ数年、超音波診断装置を使って身体の中の様子を直接見ながら、鍼を打つというやり方がある。
私自身とても興味を持ち数年前から取り組んでいるが、ようやく少しずつではあるが使いこなせるようになってきた。
一番よく使うのが肩関節周辺の痛みである。
超音波診断装置を使って患部を診ると、明確にファシア(筋肉を包む膜など)が重積して白く映り、そこが発痛源になっていることがよくある。
治療は超音波で診ながら鍼を刺し、少し痛みは伴うが患部の重積を剥がすように刺激をする。
医者なら生理食塩水で注射をするし、我々なら鍼、理学療法士なら徒手で重積を剥がす。
今までなら経験で、「おそらくここを刺激すると鎮痛するだろう。」とやっていたのが、新たな問題点が肉眼的に見えるので相当強力な武器となっている。
実際やってみて感じることは、「こんな深いところに問題があったの。」とか、「ここの筋肉こんなに薄かったんだ。」とか、「この関節、こんなにダイナミックに動いていたんだ。」と毎回新たな驚きがある。
やがてはこのやり方が標準になるだろう。
一般の方でも介護をしている方は携帯の超音波診断装置を使って、患者の膀胱内の尿量を見ている。
この超音波診断装置を使うと今まで学んできた解剖学がいかに浅はかであったかを思い知らされる。
解剖見学では700時間ぐらい学んだが、超音波診断装置を実際使うと、より3次元での知識を要求される。
新しい機械の導入とともに、またゼロから学ぶ必要性を感じている。