今何人か学生が通っている。全員運動部で何処か身体を痛めて、親が当院に通っているので連れてこられた。今の時期、高3になると夏休みで部活も終わりで、その後は受験にまっしぐらである。そういう生徒を見ていると時々自分の学生時代と重なる。田舎にいた時は受験校だったので、運動部の連中は勉強をしない。当然成績は良くない。クラスの皆もそんな眼で見ていた。野球、サッカー、ラグビー部の連中が授業中寝ていても、先生は何も言わない。「朝練で疲れているのだろう。寝かしておけ。」とおとがめなしである。しかし夏休みを境に彼らは一辺する。自宅にいる時間は寝るか勉強するかで、コタツに布団をひいて、起きたら勉強し続ける。勉強時間も一日12時間というレベルではない。18時間とか20時間は勉強している。風呂も1週間ぐらい入っていない。普通は気力が持たないが、そこはさすがに運動部、体力と精神力は鍛えてある。そんな連中が突然勉強し出すから、秋ぐらいになると成績が上がる。今まで皆から、「あいつは野球ばかりで勉強は出来ない。」と思われていた人間が、突然いい点数を取り出す。それも全教科。今までは皆が教えていたのが今度は教わるようになる。言葉も突然敬語になる。
「○○君、少しここ分からないんだけど、教えてもらえるかなぁ。」
大学の志望校も今までの成績では考えられないレベルの高い所を受験すると言い出す。では何故こんなに変化するのだろう。勉強量が多いと参考書など日に30-40頁とこなしてしまう。普通の参考書は200頁ぐらいだから、1週間で1教科が終わる。それも理解しながら。1ヶ月あると4教科、2ヶ月あるとほぼ全教科終わる。高校1年から勉強していなかった分を簡単に取り戻してしまう。そこで基礎を固めて、11月ぐらいから過去問や応用編を解き出す。元々は頭の良い生徒だから、このペースで勉強したら成績はうなぎ登りである。クラスの皆は何が起こったのか分からなくなってしまう。今になって思うと、先生方はそういう部活で活躍していた生徒のラストスパートをよく知っているから、練習をやっている時は何も言わなかったのだと思う。こんな経験をすると大事なことは、「今がどんな状態かではなく、今後どれだけ伸びしろがあるのか。」という話になってくる。今は高望みと思っても、運動などで鍛えた体力や精神力が伸びしろを決める。
頑張れ、学生!!
自分の伸びしろを信じて。