お懐かしゅう組

現在、ゴールデンウィーク真っ直中だが、当院はこの時期は休まない。
休まない大きな理由の一つが、「お懐かしゅう組」に逢えることである。
今までかかっていた方達が、仕事で関西などに転勤になったりして、実家が東北となると当然、東京を通る。
患者さんの中には、「久しぶりに東洋に寄ってみよう。」という気持ちになり、ふらりと来ることがある。
「あら、懐かしいですね。お子さんもう小学生ぐらいになりましたか?」と聞くと、
「もう高校生ですよ。」と言われ、毎回よその子供の成長の早さに驚かされる。
「え、もうあれから10年経ったの?」と計算すると合っているのだが、自分の感覚と合わない。
毎年、この時期こういう方が数人来る。
まるで同窓会である。
これがゴールデンウィークの最大の楽しみとなっている。
10年一昔と言うが、そういう方達の話を聞くと、身体を治療されたという記憶はとても人の心の奥までしみ込み、「身体が覚えている。」という表現をよくする。
カルテを10年分たどって、「以前はこうでしたが、今はどうですか?」と聞くと、「あまり変わっていない。」という反応が多い。
色々と試したがうまくいかないとか、関西では治療を受けていないとか、完治したという声をほとんど聞かない。
それより、「症状はあるが、以前ほど辛くはなくなった。」ということはよく聞く。
結局、慣れてしまったのだろうと想像する。
ましてこの時期、新型コロナウィルスの影響で来日できなかったり、受診控えなど、いい治療環境を維持するのは益々難しくなっている。
お懐かしゅう組の方を診る度毎に、コンスタントに治療が受けられる環境というのは当たり前でないと感じる。
現在世界を見渡せば、インドなどは新型コロナウィルスが猛威を振るい医療崩壊が起こっている。
身体の何処かが辛くなってすぐに診て頂いて治るという事が、どれだけ恵まれていることなのかを感じる。
先人達の苦労のおかげで本当に日本は恵まれた国になった。

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