口腔内総まとめ

私は歯医者ではないので歯科領域の専門の話は出来ませんが、普段の臨床で気になっている口腔内の話をします。

  1. 顎関節と首のゆがみ-これは何度も書いていますが、首が辛い患者さんの治療をした後、歯医者に行かれると簡単に首の筋肉の状態が変わってしまいます。これは首の筋肉の支配権を歯が持っていることを意味します。もっと正確に言うと、「噛み合わせが首の筋肉に影響を与える」という事です。最近は首のどこが硬いと噛み合わせの影響を受けるかが分かっていますので、その首のこりの患者には迷わず、「歯医者に行って噛み合わせを診てもらい、マウスピースを作りなさい」と指導しています。私は仕事柄、人に歯医者に行けと言う立場ですが、ある時かかりつけの歯医者が、「あなたは噛み合わせが強い。マウスピースをつけなさい。」と言われ、「え、私がつけるの?」と半分文句を言いながらつけてみたら、翌朝なんか首が楽。これは何かの間違いだと思って外して寝たら、翌朝何となく首がこっている。その後またつけたら楽。こんな実験を5回やって、「マウスピースで首が楽になるのは間違いない」と確証を得ました。何事も実験しないと気が済まないたちなので、最近は自信を持って患者さんに指導しています。
  2. 口腔ケアと認知症-私は以前、認知症の専門医の、「認知症の薬は効かない。しかし口腔ケアをすると薬より認知症は良くなる。」という講演を聞いた時から、患者さんには、「ある程度の年になったら口腔ケアを1-2ヶ月に1度は受けなさい。私も実行している。」と指導しています。認知症は調べれば調べるだけ新しい原因が次々に出てきて、中々研究が進みません。日本がこれだけ高齢化社会になったのですから、口腔ケアは常識にしたいと思っています。
  3. 扁桃腺と粘膜-これはEAT(Bスポット療法)の話になってしまいますが、鼻が悪いと口呼吸になってしまい扁桃腺が腫れます。扁桃腺が腫れると腎臓に負担(詳細説明省略)がかかります。当然粘膜の状態も良くなくなり、喉の痛みや呼吸器疾患を起こしやすくなります。EAT(Bスポット療法)で鼻の治療と共に扁桃腺の管理はとても大事です。
  4. 歯周病と心臓-これはよく循環器や呼吸器の先生から聞く話で、「歯周病菌が肺や心臓に対して感染源になる」という事です。歯周病が進んでいるということは、当然そこは菌にやられています。その菌が血中に入り、場所的に近い肺や心臓に悪影響を及ぼします。だから肺や心臓を治す前に歯周病のチェックが必要になってきます。
  5. 唾液と胃腸-これは以前ある患者ががんの手術後、何とか健康を取り戻そうとして色々と調べた結果、「よく噛み唾液と混ぜると胃腸が強くなる」という記事を読み、口に入れたら最低30回はよく噛む習慣を身につけたら、その後フルマラソンで完走したという話です。唾液はまだまだ未知の部分があり、外敵から先ずはじめに身体を守るところです。まさに免疫の要であることは間違いありません。よく太った人が、「カレーは飲み物」と言っていますが大反対です。豊富な唾液が若返りや健康保持、免疫強化にどれだけ貢献しているか分かりません。

以上のようなことがわかってから、当院では歯医者との連携は欠かせません。たまたま同じ学会に何人も歯医者がいますから簡単に依頼出来ますが、身体の治療をする時に、歯医者がいなければすぐに壁にぶつかってしまい治療が進みません。それくらい歯は大事なのです。

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