常連さんが少し肉体的にきつい仕事をしていて、毎回腰痛と首の痛みを訴えている。この方の腰の構造が少し階段変形といって、一気に踏ん張ることを得意としていない。緩やかに使う分にはいいが、ぐっと踏ん張ってしまうと途端に痛くなる構造である。そのまま続ければ首まで痛くなってしまう。そんな話は何度もしているのだが、中々こちらが伝えている言葉が患者にしみこまない。40年もこの仕事をしていると、「どうせ言っても聞いてやしない。」と思っているからいいのだが、言い続けなければもっと体を壊す。こんな時よく思い出すのが、「車に気をつけて」という言葉である。自分が親からいったい何回この言葉を言われただろうか。親としてみれば少し言ったぐらいでは身につかないから、何度も何度も言っていざというときに効果があればいいと思っている。幼稚園の4歳ぐらいから年間300回言われたとして、とりあえず高校卒業(18歳)までとすると14年間だから4200回。大学でも自宅から通えば5000回。すごい回数である。これぐらい身に染みるためには回数が必要である。それを言われ続けた子供が親になると、「車に気をつけて」と必ず自分の子供には言う。言われ続けていざ自分の子供に同じことを言うときには親はいないものである。
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