常連さんがここ数週間、坐骨神経痛の治療をしている。以前は五十肩だったがほぼ治って最近は腰が気になると言う。新しい年になり、「たまには肩も診てもらおうかなぁ。1.5時間で全身大丈夫?」と聞くので、「大丈夫です。では次回肩も拝見します」ということになり、久しぶりに腕を診たら、論外なぐらい酷い。以前から腕は「使うかストレスで硬くなる」と言っている。話を聞いたら、ゴルフの打ちっぱなしに通っていて仲間がいるのでやらないわけにはいかないという。どれぐらい打つのか聞いたら、500発は打つという。実際のコースでも100程度しか打たないし、連続で打つことなどない。我々は患者さんが、「ゴルフに行ってきた」と言うと、打ちっぱなしかコースがすぐに分かる。腕のこりが全く違う。硬さから判断して最低でも2ヶ月以上経っている事がわかったので聞いたら、「そうね、去年の秋からだからもっと経っているかもしれない。」と言う。右腕と左腕を比べたら右腕の方が硬い。これは手打ちを意味する。それを伝えたら、「中々よく打てないのでムキになって打った。全然上達しないし、最近は握力まで落ちてきて困っていた。」と言う。話は打ちっぱなしの筋肉痛だけならまだいいのだが、実はその続きがある。人間の身体はストレスがかかると末端(腕と脛)にこりを出す。腕が硬くなってしまうとストレスを受け取る器が減るので、我慢できなくなって短気になってしまう。心に余裕がなくなるのである。簡単に言えば切れやすくなる。例えれば、仕事を激務でこなしている時に、人から「何かお菓子でも買ってきて」と言われれば、「冗談じゃない。全く時間がないのによくそういうことを言うね」と怒るだろうが、のんびり風呂に入ってお腹が一杯の時に同じ事を言われたら、「じゃ、後で行くか」となるだろう。心のゆとりが全く違う。腕や脛が硬くなるだけで、怒りっぽくなるのである。そして腕の使い過ぎは背筋まで硬くする。左の背筋が硬くなれば、胃の反応点にも悪影響があり、何となく胃を重く感じる。内視鏡で、「胃は綺麗です」と言われても、機能不全だから食べ物が胃に入ったときにちゃんと消化しない。何となく不調と感じるはずである。これも結局、腕に自覚症状が出ないことに起因する。何となく気が短くなったり、こらえ性がなくなったり、胃の不調を感じている方は一度腕の硬さをチェックした方がいい。
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