常連さんが転んで右足首を捻挫した。階段を降りると痛いということで、反対側の左脚に負担がかかっている。すぐに治療すれば簡単なのだが、少し時間が経過した場合は左脚がどんどん硬くなる。そんな時に我々が一番気にするのが、「腸の動き」である。以前、便秘の治療法として、「左足ジャンプ」の話を書いた。左足だけでジャンプをすると左の股関節や鼠径(足の付け根)、下行結腸・S状結腸に刺激が伝わり、腸が活性化する。結果的に排便促進になる。しかし左脚が硬くなる理由が反対側の捻挫であっても、硬くなることには違いがない。硬くなることにより腸まで影響を受けるわけである。中々「捻挫」と「便秘」は結びつかないだろう。少し似た話にお年寄りが入院して寝たきりになっても食欲は落ちず、脚からの刺激がなくなってしまうので腸が動かなくなり便秘になることがよくある。腸が悪ければ左腰や脚に反応は出るが、左腰や脚が硬くなっても腸に影響がある。「内臓体壁反射」と言うが、内臓と皮膚は密接に連絡し合っていて運命共同体である。この「内臓体壁反射」のお陰で、お腹を開けなくても我々は胃や腸に刺激を伝えることが出来る。有り難い仕組みなのだが、右足首の捻挫の時には便秘という事が起こってしまう。身体の機能が複雑であればあるだけ、思いがけない事が簡単に起こる。そこを見抜くのが我々の腕の見せ所である。
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