股関節を手術した常連さんが順調に回復していたが、最近座っていて立つ時に手術したところに力が入らず、入れようとすると痛みがあるという。少し足を動かしたりすると治るという。術後は月に一度診て頂き順調に回復していたので、筋肉や骨の問題という事は普通は考えにくい。この訴えを聞いた途端、「腹圧では?」と感じた。「腹圧の上昇により足やお尻周辺の一時的な血行不良」と疑った。専門的には「一過性虚血」と言う。例えばお腹が出た人が長い時間座り続けると足の付け根を圧迫して、足に血が行かずすぐには立てない。少し伸ばしたり曲げたりしながらちゃんと足に血が行けば立てるようになる。これと同じ事が起こったのではないかと感じた。いざ身体を調べると今までにないぐらい左の背中が硬い。これは「甘い物取りすぎ」である。過去に何度か指摘したが今回が1番悪い。次にハムストリングの反応が強い。これは「下腹部の反応」を意味する。それも硬さから判断して2-3週間程経っている。腸の調子が悪いという事だ。次に左腰がかなり硬い。これも腸の反応。あまりに腸の反応ばかり出ているのでお腹を触ったら、案の定良くない。総合すると、「2-3週間過食を続けて腹圧が上がった。それが足に行く動脈の流れを悪くして一過性で立てないという現象が起こった」と判断した。本人に伝えたら、「ここ3週間位少し過食だった」と言う。順調に回復してだけに突然力が入らなくなると不安な気持ちは分かる。本来なら食事を減らし、腹圧を下げることが治療だが、美味しいものを減らしたくない患者が多いので、長年の経験で多少別のやり方もある。それは「乳酸菌の接種」「按腹」「繊維を取る」である。この3つをやれば食事を減らさなくてもいいという事ではないが、動脈の圧迫がはずれれば解決する問題なので、試す価値はある。こういう話を書く度に整形で胃腸障害を扱わない不思議を毎回感じる。一つの身体の腰と腹で起こっている問題なのに、病気を細分化して原因をわからなくしている。世の中の腰痛持ちの方、胃腸を治し減量でどれだけ良くなるかわからない。交通標語ではないが、「腰が楽になりたければ食べるな」「腰痛持ち、食べたいなら胃腸を整えろ」と言いたくなってしまう。
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