常連さんが、「この間やって貰った胃の治療がバッチリ効いた。」と驚いた表情で言う。この話を聞きながら、「例えば病院で胃薬をもらってあまり効かない場合文句を言いますか?」と聞いたら、「あまり言わないかも知れない。」と言う。これは「学校と塾の違い」である。学校で子供の成績が上がらない場合に文句を言うだろうか?おそらく言わないと思う。しかし高いお金を出して塾に通わせて成績が上がらなければ、文句を言うだろう。一つは期待値でもう一つはコストである。我々のように自由診療でコストがかかる場合は常に、「塾」である。我々はよく患者さんに、「お土産」という言い方をする。痛みを軽くしたり、動かないものを動くようにすることが「お土産」である。何か眼に見えた結果を出さなければ患者は来ないという感覚が我々にはある。良いか悪いかは別にして、開業して自由診療の先生は皆こういう感覚を持っていると思う。以前仲のいい内科の先生から、「あなた、開業って大変?」と聞かれて、「勤務医のような感覚とは違うと思います。お土産の感覚は大事だと思います。」と言ったら、「へぇ、そういうものなの?」と言っていた。常に結果を出さなければならない分、新しい治療法に貪欲でほんの少しの可能性も見逃さない癖がついている。最近ようやくこの環境が自分を鍛えてくれて良かったと感じることが多くなってきた。
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