テニスをやっている常連さんが、股関節が痛いという。気になったので、レントゲンとMRIを撮ってもらった。資料を見ると10年前にも同じ股関節の痛みを訴えている。当時のレントゲンをみると少し股関節が浅い。浅いというのは専門的には「臼蓋形成不全 きゅうがいけいせいふぜん」と言って、関節のオスとメスで、メスが十分にオスをカバーしていないために、股関節の負担がかかると変形や痛みをだしやすいことを意味している。テニスなどでボールを打つときに急に止まって踏ん張ると痛めすい。良く診ると多少先天的な要素がありそうなので、本来はテニスは向かない。程々がいい。しかし本人はやりたくて仕方がない。「今まで以上にはやらないが、やめる気はない」と言う。さてこういう場合どういう選択肢があるだろう。少し考えてみた。
- 最大限テニスをやりたいと言うことであれば、早めに悪い股関節を人工関節にして、リハで頑張り、プレイを楽しむ。しかしそんなに遠くない将来に反対側にも負担がかかり、手術は覚悟する。股関節両側同時手術もあるが、覚悟を決める。
- テニスは程々にして手術は先延ばし、その間は私も通っている股関節専門の先生で様子を診て、どうにもならなくなったら手術に踏み切る。
- テニスを取り敢えず3ヶ月休んで、プールで脚や腰周辺の筋力を鍛え、痛みを完治させる。それから徐々にテニスを再開して痛みの出ない範囲で楽しむ。基本手術は避ける。
大体こんな選択になると思う。結局本人がどれだけテニスをやりたいかによって治療法は大きく変わってしまう。私なら2か3を考えるが、それは本人の希望である。結局治療法も本人の生き方とリンクしている。それほど治療法というのは絶対的なものではない。病気によっては選択肢がないので、選べるうちは華である。