病気を消したい患者心理

患者さんの中には、「腰はもう完治した、過去のこと、自分は何でも出来る」と患った事を忘れ、治療もせずに数ヶ月してから悪化してくる人がいる。我々から見たら、「古傷があるのだから、余り無理をせず様子を見ながらやればいいのに・・・」と思ってしまうが、どうも患者心理として、「俺は完治した」と思いたいらしい。気持ちは分かるが、私などは数ヶ月前に脊柱管狭窄症を患い、お陰様で98%治った。しかし何事もなかったかのように完治したなどとは全く思っていない。患者から、「先生、腰が治ったみたいだから登山一緒に行きましょう」と言われても感覚として、「出来るわけない」と反射的に思ってしまう。もちろんやれば出来るだろうが、それで又腰が悪化したら大変である。仕事柄、「どうせ又悪化するに違いない」という感覚が抜けない。だからメンテもするし、用心もする。今は月に一度股関節を診て頂いている。症状もないのに、治療して頂くと明確に楽になる。「このままメンテしなかったら、悪化したに違いない」と思ってしまう。現実問題そんなに卑屈になる必要はないが、最低限のメンテは必要である。この考えがあれば、気持ちは完治だが、メンテをかかさないぐらいが丁度良い。

image_print印刷する