我々は人工股関節置換術の事をTHA(Total Hip Arthroplasty)と呼んでいる。最近ここ2ヶ月ぐらいの間に4人が手術をした。私自身がそんなに股関節ばかり専門にしているわけではないので、私の股関節を診てもらっている川口のじんどう先生に全員送った。先日行ったら、「先生のところにどうしてあんなに酷い股関節ばかり来るの?」と聞かれ、「私もわかりません」と答えた。治療を受けながら、送った患者の話をしていたら、じんどう先生から面白い話を伺った。「医学会における20世紀最大の発明に心臓のバイパスと人工股関節置換術がある。これはとても成績が良い。だからある程度股関節を痛がっている人には『手術しなさい』と言ってしまう。しかし膝に関しては成績が良くないので『手術しなさい』とは中々言えない。」以前常連さんから、「先生のブログに何故股関節の記事が少ないのですか?」と聞かれたが、「私が病院勤務していたときは股関節の術後はリハは必要だったが、今は手術後、殆どリハをしないケースが多い。それだけ成績が良い。患者大抵、『こんなに楽ならもっと早くすれば良かった』と必ず言う。昔は『もうすこし様子を診ましょう』という医者が人気があったが、今は先生が、『早く手術をして楽になった方がいい』と勧めてくる。何とも技術の進歩と成績の良さを感じる。」と答えた。我々の感覚の中にも、「最後は手術しかないのだから、早く腹を決めてその後のリハを頑張ればいいのに・・・」というのがある。脊柱管狭窄症や膝の手術はこうはいかないが、股関節は最終的に手術で確実に治るのが分かっているから我々は気が楽である。
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