頚を痛めている方が医者から、「今の薬が効かなければ、麻薬を使ってみますか?」と言われ、「とんでもありません。いやです。」と答えたという。患者心理として、「麻薬」と言われれば、拒否したくなる気持ちは分からないでもないが、我々は少し違う感覚を持っている。まず鍼の効果は麻薬である。鍼を打つとエンドルフィンという脳内麻薬が分泌される。これが実に高性能で、効きはよく、副作用はなく、持続時間が長い。いいこと尽くめである。よく痛い時にそこに手を当てる「手当て」も同じである。がんの患者にも麻薬はよく使うが、痛みを楽にするだけでどれだけ生活が楽になるかわからない。日本は昔から、「麻」「けし」など神事や祈祷、祈りに使われたが、麻薬の成分が入っている。生活の中になじみがある。「麻薬」と言うと中毒患者をイメージするが、医療系の麻薬に関してはちゃんと管理されているのでそこまで心配はいらない。こんな話を患者にしたら、「じゃ、次回話を聞いてみる」と言っていたので、「先生、麻薬にはどんな種類があって、副作用は何で、効かなくなったらどうするのか教えてください。まずは入門編からお願いします。」と言えばいいと伝えた。
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