マラソン完走のヒント

私自身、マラソンで完走をしたことはないので偉そうなことは言えないが、ただ患者さんの身体を診ていて感じることはある。それは、「馬鹿正直に走っては駄目」という事である。うちの来る方は必ず不具合か痛みを感じている。原因が筋肉だけなら我々でかなり治せるが、神経・血流障害や関節の問題となると、専門医の治療が必要になってくる。本番までに体調を万全に出来れば良いが、そういう方はなかなかいない。何処かに不具合を感じながら、それをカバーして完走を目指すということになる。膝が痛ければ痛む膝に負担のかからない走り方が大事だし、腰が辛ければ創意工夫をして、腰への負担を減らす何かのテクニックがいる。人によっては股関節を患っていて、何故か右手に350mlのペットボトルを持つと下半身が安定するという事も起こってくる。結局答えは練習中に実験して探すしかない。先程のペットボトルでも150mlや500mlに変えて実験する。そして左手でも持ってみる。走ればすぐに感覚で良いか悪いかは分かるだろうから、その実験を数多くやって、本番で出てきそうな不具合に対して、前もって対策を取ってあれば、「あ、この痛み。○○をすると軽くなる。」となる。そして完走した方達の話を聞くと、「35kmからは別世界」とよく聞く。だから練習の段階で35kmを越えて何が起こるかも体験しておく必要がある。こういう場合、馬鹿正直に痛みに耐えていたら、完走は出来ない。「こういう痛みを身体が出したら、さらりとかわす。」ぐらいの気持ちと技術が必要である。世の中には何でも直球勝負の方は多いが、痛みから逃れるには殆ど変化球でのらりくらりがいい。マラソンを通じて練習も含め、色々な事を感じるであろう。人生の生き方から問題解決までマラソンは知的スポーツだといつも感じている。

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