常連さんが久しぶりに少し走ったら、気持ちがよかったので長い時間走ったという。走りながら、「少しインソールが硬く、踵が痛いなぁ」と思ったが、走る気持ちよさの方が勝ってそのまま続けたという。そうしたら夜になり踵が痛み、翌日には腰、首までおかしくなって医者に行ったという。幸い、レントゲンでは異常がなく、事なきを得たが、その後家事をこなしながらどんどん痛みが酷くなって来院された。この話の中にいくつかの落とし穴があるので少し紹介したい。
- 我々仕事柄、踵の痛みには苦労しているので絶対踵の痛みを悪化させてはいけないと思っている。少しでも痛いと感じたらその段階ですぐに柔らかいインソールの靴に履き替えてから走る。
- 本来、踵をちゃんと冷やせば、腰や首まで痛みは上がらない。上がってしまったら、絶対荷重はかけない。つま先立ちもダメ。鎮痛剤もちゃんと飲む。
- 医者に行って安心したらダメ。腰など上に上がってしまった痛みはリハやマッサージで痛みを抑えておかないと又再発する。
この患者さんは、つま先立ちで家事をこなしていたという。「踵には荷重をかけませんでした。」と言いたいのだろうが、我々から診たら、踵を痛めたというのは踵に包丁を刺したのと同じ事。踵に包丁が刺さっていて、つま先立ちならいいと思うだろうか?やはりこの辺の感覚は大分違う。そんな説明をしたら、「そこまで踵は大変って皆知らない」と言われた。確かに「踵の痛み=包丁が刺さっている」というイメージは湧かないだろう。しかしそれぐらいの感覚でいないと踵の痛みは難渋することは知っていて欲しい。