紹介でここ数年、喉の渇きが治らない人が来た。
まずこういう場合は原因を考えるが、下記の原因が頭に浮かぶ。
- 糖尿病-多尿などにより喉が渇く
- 尿崩症-ホルモンの働きによりおしっこが出過ぎてしまう
- シェーグレン症候群-自己免疫疾患の一つで唾液腺や涙腺を攻撃して、ドライアイやドライマウスが起こる
- 甲状腺機能亢進症-代謝や浮腫の問題
- 更年期障害-閉経近くになると女性ホルモンのバランスが崩れる
話を聞いてみると、「今の話、全て調べてあります。全く異常はありません。」と言われてしまった。
こうなるとあとは、「薬害」「ストレスで自律神経失調症」「喉の粘膜の問題」「上咽頭炎」しかない。
全身を拝見して話を聞いて、「薬害」「ストレスで自律神経失調症」はなかったので、残りは2つ。
「喉の内視鏡は?」と聞いたら、「まだです」「鼻炎は?」「耳鼻科は行きましたが、異常ありません。」「上咽頭炎の話は出た?」「いいえ」
中々普通の耳鼻科で上咽頭炎は診て頂けない。
こうなると「内視鏡で異常が見つかる」か「上咽頭炎」で原因が見つかれば良いが、両方大丈夫となってしまうと、こちらも頭を抱えてしまう。
どうも仕事柄、「この2つに問題なかったらどうしよう。何て答えよう?」という感覚になってしまう。
本音を言えば、「上咽頭炎であってくれ」である。
長年仕事をしていると、「内視鏡も上咽頭炎も大丈夫でした」と言われた後の事ばかりに気が回ってしまうのは治療家の本音である。
しかし西洋医学と違い東洋医学は原因がわからなくても対処法はいくらでもある。
ここはいつもありがたいところであるる
患者は必ず、「原因は何ですか?」と聞くが、大学病院で調べて判らないものはこちらだって分からない。
Bi-Digital O-Ring Testを駆使し、一部分かる事はあるが、全てに対応出来るわけではない。
ちなみに、漢方薬の解決法だけ書いておくと、麦門冬湯(ばくもんどうとう)、五苓散(ごれいさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、桂枝茯苓丸(けいしゅふくりょうがん)などは頭に浮かぶ。
どういう結果になるかはわからないが、数年症状が続き、全て調べたが異常なしのパターンの患者は実に多い。