坐骨神経痛-朝が辛く、痛む場所が変わる話

季節柄、坐骨神経痛の方は多い。ある程度数を診ていると皆言う事が同じである。「朝起きて少し経つといいのですが、起きたときが一番ダメです。夕方は楽です。朝辛いので仕事を休もうと思うと午後は楽になってしまいます。」「一昨日は痛む場所が太腿だったのに、今日はその外側が痛く、痛む場所が毎日コロコロ変わるのです。」この2つはよく聞く内容である。まず朝が痛いというのは腰痛の一つの特長である。寝ている間は心臓を無理矢理動かす必要がないので、比較的血行は悪くなる。朝起きたときが一番悪い。歯を磨いたり、食事をしたり、用を足したりしていると身体に血液が回り始め、痛みは楽になる。午後になればかなり違う。しかし腰に炎症がある方だと段々夕方にかけて痛くなる。こういう方は投薬が必要である。「朝が辛い」というのはいわば当たり前で、「朝さえ楽になれば」と言うがそれは完治を意味する。痛む場所が変わるというのは坐骨神経痛の一つの特長でもある。しかし患者心理としてまるで仮病を言っているように感じる。神経痛は痛みが身体中を駆け巡るという。我々が一番困るのはどんな治療をしても痛む場所が変わらない方である。治療効果がない事を意味する。痛いところをいじって痛む場所が変われば、取り敢えず効いた事になる。後はその次に痛む場所を追いかければ治癒する。これを知っているだけでも患者さんの心は違うと思う。

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