久しぶりに脊柱管狭窄症のOPEをした方が来た。話を聞くと、「最近転んだり、フラフラしたり、膝や腰がくだけたり、手に力が入りにくかったりいろいろな症状がある。医者で診てもらったら『頚の手術が必要ですね。』と言われ、納得がいかない。頚も痛くないのに手術とは何事だ。」とプンプンしている。時間をかけてここ数ヶ月の経過を聞いたら、全て頚椎症のことばかり言っている。脊柱管狭窄症で腰の手術をしたから本人は膝や腰くだけの原因は又腰かと思っているが、どうも違う。話を聞けば聞くほど頚が疑わしい。「頚を痛めて腰くだけは起こります。医者が手術が必要と言っているのは明確な理由があります。あとはどこ(病院と担当医)でどの術式でやるかだけだと思います。」と解説したら、「君の説明でとても良くわかって腹が決まった。この症状はもう手術するしかないという事だね。医者も丁寧にそう説明してくれれば解ったのに、『手術』としか言わないから反発した。」確かに病院の短い時間でしゃべろうと思えばそうなってしまう。説明不足と言えばそれまでだが、医者も時間がとれないのは事実である。その次に来た方は「膵臓が大変なんです。昨日から悩んで・・・。」という。血液と病理報告書を見たら、「膵臓に嚢胞あり、5年前から徐々に拡大、造影剤を使ったCT必要。」と書いてある。本人はもう膵臓がんになった気分である。我々から見ると、「膵臓の嚢胞はよくあるし、腫瘍マーカーは正常だし、がんの可能性は低いし、本当の膵臓がんならもう死んでいるし、徐々にしか大きくならないのは経過観察でいいし、詳しく見るときに造影剤を使った方が見やすい。」と思ってしまう。読影をした先生は「まあ、大丈夫だと思うけど、100%の確定診断ではない。念のため造影剤で見てもらって。」と言ってるだけである。やはり医者との間の「解説屋さん」が必要である。こういう事が続くと患者さんには、「あまり書類を読まずに、『これどういうこと?教えて。』と聞いて欲しい。あれこれ想像すると良くないことばかり考える方が多い。答えを聞くとびっくりすることもあるだろうから、読む前に持ってきて欲しい。」と最近は伝えている。
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