痛くなって良かった

肩と足の骨折で通っている方が今までは肩の治療をしていて、少し足の調子が良くなってきたので、すこし歩き出したら途端に痛みが出たという。今まで使っていなかったので身体もビックリしたのであろう。足の筋肉の状態を診ると、硬さが筋肉の深いところまで拡がっている。これは連続訓練を意味するので、「最近足の調子が良くて早く治そうとして、毎日訓練をしているでしょう?」と言ったら、「そうなんです。」と言う。患者さんの気持ちは分からないわけではないが、今まで何ヶ月も使わなかった筋肉を、早く治したいという理由で突然使われては筋肉が怒る。「ではどれだけやったらいいのですか?」と聞くので、「どれだけやっていいかは中々明確に言えませんが、運動の後に辛さを感じないレベルがいいと思います。30分歩いたらなともなかった。60分歩いたに少し辛かった、では45分にしよう。という感じです。しかし毎日運動しても期待するほど時間はすぐには延びません。3日経ったら15分延びるという事はありません。ある程度その時間が続いてある瞬間からポーンと歩けるようになります。以前、『治療効果は階段的変化』でも書いたとおり、上り坂を上がるように良くなりません。そこまでは我慢なのです。身体にも色々と我々に解らない事情があるのです。それがクリアされた途端、跳ね上がります。そう思って訓練をして下さい。」と説明した。痛みが出るおかげで自分の器がわかり、炎症で治療が遅れ、悩まなくて済むのであるから本当は感謝して欲しい。

 

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