パテラ(膝のお皿)について

日舞の方のパテラ(膝蓋骨-膝のお皿の骨)を動かしたら、とても気分が悪いという。このパテラは何の問題もなければ上下左右に滑らかに動く。解剖すると太腿の筋肉の膜に包まれていて、太腿が硬くなると動きも悪くなってしまう。日舞の方は殆どが右膝か右股関節痛を訴えてくるので職業病だろうが、このパテラを動かないままにしておくとあとで問題が起こる。患者が例え嫌がっても滑らかに動くようにしておきたいと親心で思ってしまう。硬いままだと身体の曲げる角度が悪かったり、怪我が起こりやすくなってしまう。中々そこが伝わらないと、「膝のお皿の治療とても嫌だった」で終わってしまう。以前解剖教室で関節の中の滑液について教授から、「この関節の中の滑液ですが、無色透明で匂いもなく何回擦っても熱を持たない。とても優れた潤滑油です。こういう素晴らしいものを人の身体は作ってしまうのです。」と教えて戴いて実際滑液を何度も擦ったが、実にサラサラしていてその感触が今でも残っている。関節も動かさなければ、「滑液いらないですよね」となってしまう。逆に動かせば、「こんなに動かすのならもっと作らなくちゃ」となる。五十肩でも膝でもそうだが、痛みが強いときは安静しかないが、ある程度動かしながら治すのが成績が良い。そういう患者さんを診る度にサラサラの滑液を思い出す。

image_print印刷する