キーワード 寺子屋

老いと寺子屋

最近仕事をしていてつくづく思うことは、「自分のやっていることは寺子屋だなぁ。」ということである。 何を教えているかと言えば、「老い」である。 長いこと仕事をしてきてわかったことは、「人の老いは皆同じパターン」ということである。 20歳までの成長期は殆ど病気もせず元気でいいが、33歳ぐらいから明確に身体は変化し始める。 まず問題なのが体重増加、酷い方だと20歳より15kg増える。 そうなると坐骨神経…

「先生にすべてお任せします」は考えもの

よく手術の場面で、「先生、すべてお任せします。」と患者が言っているが、私はこれは少し問題があると思っている。以前もある尺骨神経麻痺の患者が、手術をしたが全く良くならず医者に問いただしたら、「手術は成功しました」の一点張りでそれ以上話が進まない。患者にすれば、手術をすれば治ると思っていたが、医者にしてみたら、やるべき事はすべてやって手術は成功した、あと麻痺が治るかどうかは患者の力と思っている。このす…

仕事の本質

大分前だが『アポロ13』という映画を見たときに、「こんなに色々な場面を想定していたのか。」と感動した記憶がある。 宇宙飛行士の訓練も殆どが事故やトラブルのシミュレーションばかりだと聞く。 以前、「仕事が辛くなるとき」でも書いたが、「不測の事態を想定して準備をしておく」ことが仕事の本質ではないだろうか。 数ヶ月前に当院のホームページの管理をお願いしている方に、「ホームページの更新が来ていたので、更新…

「解決」と「創造」

テレビを見ていたら東大で有名な林先生が、「仕事の本質は『解決』と『創造』しかない。」と言っていた。これには唸った。確かにそうである。我々は治療家だからいつも「解決」ばかりやっている。では「何を創造しているか?」と聞かれると目指しているものがある。それは最近LINE@の患者数が220人を超え、ブログを書く度に配信しているが、イメージしているのは「寺子屋」である。健康法を教えるのは当然であるが、日本人…

過酷な生活と帯状疱疹

病院勤務時代に救急だったので、骨折の患者はよく来ていた。場合によっては数ヶ月もベッドに寝ているとよく帯状疱疹を起こしていた。医者に、「帯状疱疹は免疫が下がると起こる。」と言われ、患者本人にしてみると、「骨折してから安静ばかりで無理はしていない。それでも免疫が落ちるとは不思議。」とよく言っていた。今日来た常連さんも眉の痛みを訴え、段々痛くなったので診てもらったら帯状疱疹だった。この方は10数年前に腰…

常連さんのぎっくり腰

数年前に腰痛出来た方が今ではすっかり治療するところもなく、いつもメンテでお腹と脚だけ揉んでいる。昨日来たときに、「先生、大変なことが起こった。スポーツジムでいつもは脚の筋トレを10回しかやらないのだけど、試しにと思って15回やったら腰が痛くなった。大変だ。」という。我々の感覚でぎっくり腰と言われたら、「歩けますか?」「立てますか?」「寝返りうてますか?」「来られますか?」なのだが、いつも通り普通に…

健康増進法

先日、テレビで池上彰さんの番組を観ていたら、「健康維持を国民の義務とする」ということを言っていて、調べてみたら健康増進法に国民の責務として、第二条 「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」と書かれていた。 これは知らなかった。 背景には高齢化やメタボなど医療費の増大に伴い、健康寿命を延ばそうとし…

血圧の測り方

今は自宅で簡単に血圧が測れるようになった。今日来た常連のおばあちゃんが、「今朝、血圧を測ったら上が60しかなかった。食べれば治ると思って朝ご飯をいっぱい食べた。」と言う。「それは朝起きてすぐ測ったの?そして何回測ったの?」と聞いたら、「起きてすぐではないが、1回しか測らなかった。」と言う。「今は機械で簡単に測れるがやはりコツはある。血圧計の機械は手の橈骨(とうこつ)動脈といって、よく脈を取るところ…

義理の父の肺炎

常連さんの義理のお父さんが肺炎で入院したという。年は92才、一時期は危なかったそうだが、何とか退院出来たという。嫁の立場で、担当医に「肺炎の原因は何ですか?」と聞いたら、「この年になると菌の特定がうまく出来ません。おそらくこの抗生剤でいいと思いますが、熱が下がらなければ変えます。絶対大丈夫とは言いませんが、ダメならまた変えます。おそらく大丈夫だとは思います。」と少し頼りがないという。医者も原因が特…

肩の前面の痛みに関して

少し専門的な話をします。五十肩や肩の痛みの場合は肩関節の前面に痛みがよく出ます。我々から診ると筋肉が硬かったり、靱帯が伸びなかったりなので、問題のあるところに鍼を打ったりするのですが、神経ブロックの先生から診ると神経の通り道に打ちたいわけです。筋膜リリース(ファシアリリース)の先生からすると筋膜に問題のあるところに打ちたいわけです。各々専門的な立場から狙いたいところが微妙にずれます。以前、五十肩で…

学ぶ場がない

親指が突然痛くなった方が、整形外科に行って塗り薬をもらったが全く効かないので不安を訴えてきた。それは医者でばね指(弾発指)と言われ、お薦めの治療はステロイドの注射、それが効かなければ手術がいいい。昔は一生懸命、患部に鍼をやっていたが、注射にはかなわない。どうしても注射や手術が嫌な方は24時間氷で連続冷やす方法もあるが、皆が出来るわけではない。塗り薬で効いたという方はあまり聞かないので、注射から試す…

顧客満足と安心

仕事柄、会社の社長は多い。 色々な話が出る中で、「顧客満足」という言葉は何度聞いたかわからない。 確かに大事なことだが、これに関して師匠から、 「顧客は満足しない。どんな商品だってもっと良いものが欲しくなる。だから安心を与えるようにしなさい。」 と指導を受けた。 この言葉の重みが年々深くなってきた。 例えば我々が腰を治療する場合、顧客満足で考えると、「いかに早く、きちんと治すか。」ということになる…