症例

身体は駄駄っ子

昨日来た常連さんは、先日治療したばかりなのにまた痛いという。詳しく調べてみると、前回は背中を治療して今回は肩が辛いという。こちらとしたら、背中を治療した時にそこそこ肩の治療もしてあるのに、そんなに辛さが出るかなぁと思ってしまう。しかしこれはよく起こることでそんな時は必ず、「身体は駄駄っ子」という話をしている。これは兄弟に例えるとわかりやすい。普段子供が饅頭一個で満足するとする。お兄ちゃんと弟に一つ…

木を見て森も見る

現代医学は細分化しすぎていて、「木を見て森を見ず」とよく言われる。 先日も日本病巣疾患研究会、EAT(Bスポット療法)の学会で、堀田理事長が「うちは木を見て森も見る」と挨拶され、「病気の所だけ見ても原因がない。身体全体を診ないと答えが出ない」と力説されていだが、実に同感である。 堀田理事長は本来、腎内(腎臓内科)の医者だが、腎臓を治すのに鼻の治療は必須と言っていて、泌尿器学会で「泌尿器の医者が何が…

硬いパンと鬱病

今まで留学して鬱病になってしまった人を何人も診た。身体を診るとほぼ同じ原因である。それはメンタルがやられる部分は分かるのだが、それ以外に大きな影響があるのが、「硬いパン」である。日本ではそんなに硬いパンは売っていないが、本場のフランスやドイツのパンは相当硬い。硬いパンに慣れていない日本人が硬いパンの生活をすると大抵、一側でしか嚙まず、煎餅と違い硬いパンは引きちぎるような事をしなければならないので、…

洗剤を使わない食事

私自身、そんなに太っている方ではないが、患者さんと色々と話をしているうちにある事に気がついた。それは、食事が終わって使った食器を洗うときに洗剤を使わない生活は太らないという事だ。私自身、昼はそば、夜は落花生とウィスキー、サラダ(ドレッシングなし)と手料理1-2品程度しか食べていないので、食器を洗う時に洗剤がいらない。昔の食生活はご飯、味噌汁、納豆、海苔、卵、鮭、ひじき、豆腐程度。鮭は少し洗剤を使わ…

年をとると幸福になる

40代の常連さんが、「自分は少し年を取る事に恐怖心がある。気力低下や頭の働きが鈍くなるなど不安だ。」と言う。 気持ちは分からないでもないが、私自身この職業のお陰だが人が老いると身体と心がどうなるかを沢山診てきているので、少し違う感覚を持っている。それは、「人は年をとると幸福になる」と思っている。 今になって思い返してみると若い頃は、金の心配しかしていなかったように思う。 セミナーに出たくても出られ…

昔の生活-続編

患者さんの中にはお年寄りも多い。そういう方達から出る話はやはり昔話ばかりである。「昔は台所に棚をつけたいと思い、大工さんに言うとすぐに取り付けてくれて、見積もりなどなかった。金額もこちらが思っていた額とそんなに変わらないから、安心して何でも頼めた。畳屋さんも年末の大掃除にはきてくれて、まだ取り替えなくても大丈夫とか、来年は張り替えた方がいいと言って、勝手にやってくれた。酒屋さんも勝手に入ってきて、…

大波が来たら鼻を摘まんで深く潜っていろ

年をとると関節の痛みなど治ったと思っても、また痛くなる事はよくある。若い時みたいに中々完治はしない。そんな時によく言うのが、「大波が来たら鼻を摘まんで深く潜っていろ」である。痛い時はおとなしくしていたほうがいい言う意味である。年配者は痛い時と楽な時が交互にくる。治ったと思ってもまた痛むので気持ちはめげるが、普段から痛い時のために薬を準備するとか、温めたらどうなるかとか、揉んだらどうなるかなど色々試…

主治医がいないと・・・

今日来た方は「がん」「骨粗鬆症」「泌尿器疾患」「胃腸炎」と色々と病気が多い。がんは大学病院で診てもらい治療は終了している。骨粗鬆症は整形で診てもらい、カルシウムなどのコントロールがうまくいかず、泌尿器に結石の問題など起こると大きい病院にまわされる。泌尿器の問題が治まれば、また整形に戻る。胃腸は今まで、大学病院で診てもらっていたが通いきれず、町医者に同じ薬を出してもらっていると言う。この話を聞きなが…

講演会を頼まれて

長年仕事をしていると学会でしゃべってくれとか、講演会を時々頼まれる。 専門家相手だと楽なのだが、素人相手では少し勝手が違う。 難しい言葉を使わず、わかりやすく、ちゃんと説明してと思うから、普段と違う神経を使う。 基本は「健康セミナー」なので、どんなタイトルにしたら、皆さんが興味を持ってくれるか考え下記の4つにした。 難病治療のコツ 病院では教えない自分の健康を守るコツ 病院の常識、世間の非常識 が…

クーラー病について続き

これだけ暑い日が続くと体調を壊す人は多い。 シンガポール、ハワイ、ロスから来た人も、「日本は異常」と口を揃えていう。 ドバイから来た方だけ何も言わなかった。 特に今年の夏はお年寄りで4人ほど酷いクーラー病で、厳しく生活指導をした。 例年の暑さ位であれば「気をつけてください」は日に何人も伝えているが、こんなに4人も厳しく指導した事など今まではなかった。 まずクーラー病であるが全員同じ特徴がある。 2…

ようやく見つけた突破口

以前から耳鳴りに関しては治せないので、悪口ばかり書いている。 しかし先日あるセミナーを聞いていたら、「頚の痛みや顔面神経麻痺の治療に顎下腺への注射が有効」という報告があり、そのあと耳鼻科に詳しい先生から「耳下腺への太い注射鍼は好ましくないが、鍼灸程度の細い鍼ならまず大丈夫。また鼓膜周辺の細かい筋肉や神経支配は○○で、何故耳鳴りが治りにくいのか、こういう構造だから出ている症状には○○という特徴がある…

真面目な人は治らない?

年配の常連さんが、眠気が取れないという。病院で頭を調べたりしても何も異常がない。こういう場合は鼻炎を疑うのだが、多少の睡眠時無呼吸症候群はあるものの、そんなに酷くない。あとは漢方薬を試したり、我々が頚を治したり、頭に鍼を打ったりする訳だが、その効果も限定的である。 そうなるとその患者は、「この眠気さえ取れれば・・・」となるが、しかし医学的にやるべき事は殆ど終わっている。ではどうするかである。 答え…

医者の腹づもり

常連さんが足の痛みが取れないと言う。足の外科で詳しく診て頂いたら、ある靭帯を痛めている事がわかった。 医者が、「これだけMRIではっきり出ているのて、まずは投薬で炎症を鎮めましょう。」と言ったら、患者が「先生、以前も薬は効かなかった。注射にして下さい。」と言って打って戴いたが効果がなかったという。 この話を聞きながら、「患者心理として以前、薬が効かなかったからもう薬はいいや。注射なら効くに違いない…

忙しい時の方が色々と出来る

もう20年以上通われている会長が最近85才を超え、つくづく最近の気持ちを教えてくれた。 「昔は歌舞伎やクラッシックなど時間がなくて見られないから、会員になって自動的にチケットを送ってもらっていた。もちろん全て見れる訳ではないが、それでもそこそこは頑張って見ていた。やがていつでも自由に見られるようになりたいなぁと思いながら・・・。しかし最近いくらでも時間があるのに、全く見に行かない。気力がないという…

一気にまとめて治療

股関節の手術をした方が、膝痛で通っている。少しずつ回復してきて最近は頚が痛いという。調べてみると首のゆがみがあり、これはマウスピースを作るしか方法がありません。我々から診ると股関節のOPEをして、膝も直に治るでしょう。しかし首のゆがみの問題をほったらかしにしておくと、その神経の興奮で又膝や股関節までおかしく感じるものなのです。身体は繋がっていて、他の悪い部分が全身の神経に影響を与えます。しかし患者…

自分に合う仕事などない

これは人生の師匠から大分昔に教わった言葉です。よく「この仕事は自分に合っていない」という声を若い方から聞きます。合っていないから探す、そしてどんどん時間が経ってしまい、60才ぐらいになっても、「まだ自分に合った仕事が見つかっていない」と言う。もしこれを結婚で考えたらどうでしょうか。「色々な人とつき合ったけど自分に合った人と巡り会えない。4回結婚して4回離婚、又探し求めている」それでもいいのかも知れ…

息子が成功した母の気持ち

仕事柄、上場企業の社長を診ることがよくある。 そういう社長に必ずと言っても良いほど共通項がある。 それはライオンタイプで推進力はブルドーザー並みである。 もちろん緻密に色々なことを考えてるのだろうが、思考の内容より身体の素晴らしさばかりを感じてしまう。 まず基本、身体ががっちりしている。 次に腕がしっかりして、いかにもストレスに負けない感じである。 大抵そういう身体は強い遺伝子バッテンでもらうから…

留学時の準備

以前ブログで旅行に行く時の準備は書いた。たまたま常連さんがフランスに留学に行くというので、今までの経験で気がつく範囲で話をした。何人か患者がフランスにいて、LINEやZoomでのやりとりでこれがないために何度も歯がゆい思いをしているので、まとめてみたいと思う。 鍼(患者さんに自分で打つようやり方を教えている。頭痛の時に便利)、皮内鍼(絆創膏で止める鍼) メス(取り扱いが楽で深く広く切れない仕組みの…

効いていると思います

以前から耳鳴りは難しいと言っている。 通っている患者さんに、「出してもらっている漢方薬は効いているの?」と聞いたら、「効いていると思います」と言う。 我々から見ると効いていかどうかは「感じるもの」で、「思うもの」ではない。 こういう言葉が患者から出ると、すぐに「効いていないのだろうなぁ」と思ってしまう。 では何故こういう言葉になるかであるが、「専門の先生に診て頂き、あまり悪い事は先生の前では言いに…

出産後の仕事復帰と絶望

常連さんが出産後仕事に復帰したら、今まで出来ていたことが全く出来ずに困ってしまったという。特に女性の場合は妊娠、出産で最低でも1年や2年は仕事を空ける。そして出産後は子供のこと以外考えられなくなる。仕事のことなど殆ど考えられない。そんな状況で、久しぶりの仕事復帰である。普通に考えれば、「ある程度は仕方がない」と誰も思うが、本人にしてみると、「こんなに頭が回らないとは思わなかった」と言う。こういう感…