症例

敏感な方と鈍感な方の違い

先日、自分は鈍感な方で辛いことはあまり感じないが、右腰が痛いという方が来た。問診と身体を診て胃炎とわかったので、「胃の反応は左腰から脚に出ます。お辛いのは右かも知れませんが間違いなく左もやられていますよ。」と言ったら、「自覚はないのですが・・・。」と言う。案の定、右以上に左腰もやられていて、こちらの説明は正しかったのだが、今日2回目の治療の時に、「頚が痛い。」と言う。こちらにしてみると前回の治療は…

断食について

アーユルベーダの日本の第一人者、上馬塲和夫先生のFacebookの中に下記のようなことが書かれていた。 「お釈迦様の苦行像だか、仏陀は中道を体得し悟られた後も、弟子たちに断食を許していた。仏教の僧院生活、まあ仏教生活では朝の空腹時に体調を内観する。昨日の食事が消化したかどうか。不快を感じたら、朝食をとらずにそれを観察する。水も飲まずに内観する。しばらくして、不快感がなくなったら、白湯をいただき、さ…

挨拶について

中学生から鬱病で通っている子が、社会に出て会社で揉まれながら頑張っている。時々来て話を聞いていると、「会社の中で皆に嫌われている人がいるのです。私自身は嫌いではないのですが、何となく近寄りにくくて・・・。」と言うので、「そういう場合は自分から先に大きな声で挨拶をしなさい。例え遠くにいても見つけて会釈だけでもいいからしなさい。相手はわかるから。そうするとその嫌われている人はあなたに対してとても良い印…

右足の痛みの原因が胃炎?

女性で常連さんが右の鼠径が痛いという。考えられるのは鼠径ヘルニアか大腿神経痛である。鼠径ヘルニアなら立つと飛び出るから触るとわかる。大腿神経痛は神経の経路にそって痛みが出る。後は股関節の問題である。これはMRIを撮らないとわからない。全身を診ていくうちにスタマックラインの反応(左脚に反応)を見つけた。胃炎である。話を聞いたら少し前に腸炎もやっているという。Bi-Digital O-Ring Tes…

痛風薬を止めなければ治らない腰

胃炎が原因で腰痛の方が、最近調子が良い。食べ過ぎても胃が丈夫になってしまったものだから、腰に痛みが出ない。仕事も順調で身体を診ると、休みなく動いているのが手に取るようにわかる。それでストレスはどうかというと心臓の反応のヤダモン君は全く出ていない。そして食欲も旺盛で体重が減る雰囲気は全くない。お客様との会食でも気がつくと皿をすべて平らげているという。以前みたいに胃腸に負担をかけ、腰でも痛くなればそれ…

脳も臓器

鬱病の治療をしていると脳を臓器と思っていない方が多い。胃が悪ければ粘膜保護や潰瘍剤、消化剤で治る。腎臓が悪ければ利尿剤などで良くなる。心臓が悪ければ血管を確保してあげれば良くなる。肺が悪ければ感染症を治してあげれば良くなる。脳も臓器なので、血行不良なら血液、感染なら抗ウィルス剤、セロトニン関係なら腸を治療する。他の臓器と全く同じ考え方で良くなる。どうも脳だけ特別で何か特殊なことをやらないとダメと思…

極めたい患者と楽になれば良い患者

Bi-Digital O-Ring Testをやっているとどうしても原因を調べて欲しいという患者は多い。レントゲン、CT、MRI、超音波を撮っても、血液を調べても原因らしきものが何も出ないと納得が出来ないという。確かにそうではあるが、医療者側も原因がわかってやっているケースは案外と少ない。発熱や痛み、内臓の機能低下、感染、がんに至るまで、原因不明のものは意外と多い。だから出ている症状を鎮めて様子を…

中年女性のお腹の問題

60代70代の女性を診ていると、「お腹の問題が治まればこんなに色々と症状が出ることはないのに・・・。」と良く感じている。閉経後、甘い物の誘惑に負け、中年太りに悩まされ、スカートが入らなくなり、ゴムのスカートを買ったりする。何となく便秘もあり、坐骨神経痛もある。物忘れは段々深刻になり、旅行に行っても階段の多い神社などはお参りが出来なくなる。夜の宴会は元気だが、翌日の便秘には悩んでいる。下腹部を見ると…

人を変えるもの

鬱病治療をしていると何かのきっかけで良くなる方は多い。心療内科だとどうしても薬物治療がメインだが、我々から見ると胃腸機能や粘膜、口腔内の問題を解決してあげればかなり治療成績が上がるのにと思ってしまう。患者さんの中にはきっかけがうまく掴めず、小康状態が続いている方は多いが、時間が長くなると焦ってくる。そんな時によく、「どうやったらきっかけを掴めるのですか?」と聞かれる。そうすると「人を変えるのは人か…

ちょっとした差が大きな差に

どんな技術であっても新しいものを身につけることは困難を伴う。Bi-Digital O-Ring Testを勉強して20年以上経つが、初めはこの技術、本当に身につくのだろうかと思いながら取り組んでいた。下津浦先生という師匠のご指導のおかげで何とか形になってきて、最近では目には見えない病気の原因を探ることが出来るようになり、難しい患者さんの治療成績も以前とは比べものにならないぐらい上がってきた。最近は…

屍は師なり

この言葉を教えてくださったのは元慈恵会医科大学、加藤征教授です。今から30年近く前に私自身、治療法に行き詰まり何から手をつけていいか分からないときに師匠から、「物事を極めるには原書から」と教えて戴き、自分の仕事の原書は解剖だと気がつき、東京中の医学部に電話をして解剖を勉強させて欲しいとお願いしましたが、ことごとく断られました。最後にたまたま慈恵会医科大学にすがるように電話をしたときに、「う~ん、勉…

首に集中

耳鼻科の医者から耳鳴りの患者さんが来た。 耳鳴りはどの先生も悩んでいて患者さんは数ヶ所回る。 今まで1番ひどい方でうちが14ヶ所目という方がいた。 当院も決して成績は良くないが、Bi-Digital O-Ring Testを使い、今までの経験と共に少しでも楽になればと思っている。 まず身体を診ると腕が異常に硬い。 これは慢性的に頚に問題があることを意味している。 次に頚を診ると喘息の反応点がある。…

五十肩と咳

常連さんが五十肩で通っている。2ヶ月ほど来なくてどうしたのかと思っていたら、咳が酷くてこんな時は行ってはいけないと思っていたという。身体を診ると今までより肩は悪化している。五十肩だけでも肩関節の炎症なのに、咳や喉の炎症が加わると肩までひどくなる。結局身体に2ヶ所の炎症でお互いが悪影響を与え続けてしまう。喘息の方は良く来ているので咳き込んだ時こそ治療が必要なのに、控え目な性格ゆえに悪化させてしまった…

花粉症と日舞

日舞をやっている方が最近花粉症がひどいという。稽古はいつも通りやっているそうだが、足の緊張が強い。調べてみると殆ど腸の反応点ばかりである。これは花粉症のせいで粘膜がやられ、腸が過敏に反応したからである。本人は稽古がさほどきつくないのに足が辛いのは不思議と思っていたろうが、原因が違うところにある。花粉症を患っているときは神経も興奮しがちで、稽古は少し軽めがいいとおもう。花粉症のために乳酸菌の治療をす…

腰から足に痛みが移れば改善

知り合いの先生がヘルニアで腰が悪く、最新の治療でアメリカで特許も取っているというDST法という治療を受けた。「術後はどうですか?」と聞いたら、「劇的に良くなった感じはないが、痛みは腰の真ん中からお尻と足に移った。しかし今度はそこが痛くて歩けない。 痛み止めも効かず 夜もうずいて寝られない。」という。一人では杖なしでは歩けず、助手に手伝ってもらって椅子に坐らなければならない。こういう場合、我々から見…

老いと寺子屋

最近仕事をしていてつくづく思うことは、「自分のやっていることは寺子屋だなぁ。」ということである。 何を教えているかと言えば、「老い」である。 長いこと仕事をしてきてわかったことは、「人の老いは皆同じパターン」ということである。 20歳までの成長期は殆ど病気もせず元気でいいが、33歳ぐらいから明確に身体は変化し始める。 まず問題なのが体重増加、酷い方だと20歳より15kg増える。 そうなると坐骨神経…

忘れていた小麦アレルギー

数年前に胃炎が全く治らず調べてもわからなかった方が、ようやく小麦アレルギーとわかり一件落着した。数年してから外国でちょっとした食事の中に小麦が入っていて高熱と共に具合が悪くなった。こういうケースもあるので先生に処方して戴いて抗アレルギー剤をいつも持っていた。今回、イタリア旅行で何かお祭りがあったらしく頂いた物の中に小麦が入っていた。イタリアでの全食事は日本から白米持参だったのに、ちょっとした油断で…

鬱病と思想

男性の鬱病患者で何とか現状を打開しようといろいろな本を読み、ある特定の思想にはまる方が時々いる。「今の日本はダメで、○○主義、思想を目指すべきだ。」「自分がこういう状態になったのは○○体制のせいである。時代の被害者である。」思想自体をどうこう言うつもりはないが、その方の現状を見ていると、親に世話になっていたり、奥さんが働いていたりととても自立しているとは思えない。「今の政治を変えなければならない。…

ウェラー・ザン・ウェル

Weller Than Wellとは誰言うとなく伝えられてきた言葉で、直訳すれば、「健康なときより、いっそう健康」という意味である。 元NHKでがん患者の川竹文夫さんがNPO法人ガンの患者学研究所を立ち上げた。 そして川竹さんがこの言葉を次の様に解釈すると言っている。 「自助努力によってガンを治した人は、ガンになる以前にも増して、心身共に、はるかに健康で幸せな人生を送ることができる」 この患者会は…

「一切れのパン」と心のよりどころ

たしか中学校の国語の教科書に「一切れのパン」という話が載っていた。 第二次世界大戦中、ハンガリーの首都ブダペストで主人公は二十歳くらいのルーマニア人男性。彼には妻がいて、ドナウ川を往来する船で働いている。国際情勢が変化しての話。当時ハンガリーはドイツについていたが、彼の祖国ルーマニアは反ドイツのソ連についたため、彼は敵国人として捕らわれ、運搬列車に押し込まれてしまう。その貨車の中でユダヤ人の老人ラ…