患部に負担をかけないことの大切さ

以前、保育士と膝当ての話を書いた。治療しても中々膝の痛みが取れなかった保育士さん膝当てをしたら、膝が良くなってしまった話である。常連さんの花屋さんにも、「剪定ばさみがきついでしょうから電動にしたらどうですか?」と言ったら、「多少無理しても手でやった方が早い。」と言われ、中々この方は肘痛が治まらない。最近通っている植木屋さんにも、「細い枝ならまだしも、ある程度の太さの枝は電動を使ったらどうですか?」と言ったら、「こっちは職人ですから、電動を使うなんて格好悪くて・・・。」という話になってしまった。職人気質というか気持ちは分かるが、ある程度長年やっているとはさみを使う人なら、手首や肘痛は避けられない。関節の状態を診ると変形して慢性炎症を起こしている方が殆どで、これは相当無理して我慢して我慢してどうにもならなくなって、通っているというのが手に取るようにわかる。しかし保育士さんのように患部に負担をかけないだけでも病状は良くなる。職人さんもあと何年かやりたいという気持ちがあるなら、今までの習慣だからとか、格好悪いではなく、徹底して患部を休ませる方法を考えるといいと思う。今まで酷使したきたかたほど、休ませると急速に回復する。先日もある女優さんが手紙の書きすぎで手首の痛みが中々治まらずこちらも困っていたが、少ししっかり目のサポーターを装着した途端、痛くないという。それほどまでに患部を使わない、休ませるというのは大事なことである。昔子供の頃、膝を擦りむき瘡蓋(かさぶた)が乾ききるまで待てず、風呂に入るとすぐにはがしてしまい何日も傷口がぐちゃぐちゃの子がいたが、毎回親から、「少し傷が乾くまでいじるんじゃない。」と言われていた。どうも日本人の気質の中に痛みに耐えて仕事をすることが美徳のような感覚がある。当院では昔から我慢弱い人を作ることを目的にしている。長年の経験で電動剪定ばさみを一度使えば殆どの方は電動なしにはいられなくなる。初めのきっかけぐらいは作ってあげたいと思う。

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