以前から、「膝に熱があると治らない。徹底的に冷やさなければいけない。」と言い続けてきた。細身の女性で踊りをやっている方が、最近膝の症状が取れない。稽古のあと、辛い膝を冷やすのだが全然良くならないという。調べてみると腫れは多少あるものの、熱は全くない。大腿四頭筋(ふともも)も硬い。もしかしてと思って暖めてみたら、殆ど痛みが取れてしまった。冷え性の方で場合によつては、使いすぎても冷やしてうまくいかないことがある。この方は肩の症状もあり、これも冷やしていたという。肩も試しに暖めたら、とても楽だという。冷え性の場合は、温める冷やすの判断はとても難しい。理屈から言えば使いすぎで冷やすのは間違っていないのだが、症状が取れないと言って冷やし続けると血行障害が起こってしまう。患者さんは、「冷やすの?暖めるの?」と聞くが、こちらにしてみるとそのタイミングなどは指導しにくい。どんな場合でも全身をしっかり診て判断しないとまちがってしまう。固定観念の怖さをまた味わった症例だった。