快適な旅のヒント

仕事柄、毎日多くの方としゃべっている。実家に帰ったり、友達との旅行の話は多く、そんな中で時々成る程と思うことがある。それは夜の過ごし方である。実家に戻っても実家には泊まらないという話を初めて聞いた時は少し驚いたが、よくよく考えてみると一理ある。年老いた両親に食事や寝床、風呂の支度までさせるのは忍びない。自分もしたくない、そうなると近くにホテルに泊まるという。夕食は外で済ませ、少し実家に戻って話をし…

最後はお灸で決める

鍼灸学校に入るまでは、「やがては鍼の名人になろう」と思っていて、灸のことなど全然頭になかった。実際学校の授業でも、灸は「もぐさ捻り」ばかりで全く面白くない。国家試験を取った後も、鍼でどうやって痛みを取るかばかり考えていたから、灸に関しては患者さんから言われればやっているだけで、こちらからは余りお薦めしなかった。そんなある日、病院勤務時代に坐骨神経痛の酷いヤクザの親分が来て、「医者に注射を打ってもら…

肘の気持ち

以前からお薦めしないスポーツはテニス・スキー・ゴルフと言っている。その理由は簡単でそのスポーツをやった後に、必ず当院に来るからである。プールで泳いでいる方で、「髪の毛がまだ濡れているんです」と言ってくる人は1人もいない。一番やっかいなのが、ある程度時間的にもゆとりが出来、テニスにはまる方達である。そういう方達は全員、「青春」と「挑戦」と同じ事を言う。そういう方達は初めは週に1-2度やっていて、ダブ…

やがてあなたは腹を切ることがあるかもしれません

これは大分昔の話です。九州のある町から、世が世ならお姫様と言える方がいらっしゃいました。先代がある城の城主だったそうです。その方が東京の中学校に来る時には、ばあやと一緒においでになりました。そのばあやからある時、「あなたは世が世なら姫です。あの城を守るために、どれだけの家来が亡くなったか分かりません。やがてあなたは腹を切ることがあるかもしれません。その時は、こうやって家来が腹を切って死んでいったの…

先生はどうして鍼灸をやっているのですか

時々患者さんから、「どういうきっかけで鍼灸を」と聞かれることがある。高校時代は田舎の進学校に通い、たまたま算数が好きだったので、将来は数学者か工学系の電子関係かコンピュータのプログラミングでもと思っていた。その後大学受験に失敗して、東京で浪人生活をしていたときに鍼灸と出会った。それは今でも衝撃的で、丁度アメリカのニクソン大統領が訪中していて、全世界に鍼麻酔が公開された。映像では麻酔薬を使わず、手と…

首や腰が痛いと言われて

仕事柄首や腰が痛い人は毎日診ている。 こんな中で、首の痛みの原因を少し列挙してみたい。 1.目の使い過ぎ 2.鼻炎 3.噛み合わせ異常 4.不眠・ストレス では腰の痛みはどうだろうか。 1.甘い物の取りすぎ 2.刺激物の摂取 3.腸の反応 4.胃酸過多の反応 5.婦人科や前立腺の影響 6.股関節からの影響 7.太腿からの影響 これはかなり簡単に書いている。何が言いたいかというと、「首や腰自体に問題…

ぎっくり腰の苦い思い出

これはもう20年以上前の話だが、この南品川に拠点を移した時、この店舗がクリーニング屋さんだったので、内装工事の後、何も考えずにベッド3台を入れた。それから少し経ってから酷いぎっくり腰を患い動けないので、スタッフに来てもらい鍼を打ってもらった。「先生、片脚だけ異常に硬いですよ。これが原因ですよ。普段お世話になっているので、太い鍼を一杯打っておきます・・・」「え、そんなに太くなくてもいいよ。本数も程々…

左肩の痛みを右腕で治す話

以前から、「痛いところは被害者の可能性がある、加害者を治すと痛いところはいじらなくても良くなる」という話をしている。昨日来た患者も、「何もしていないのに左肩が痛む」と言う。調べてみると、特別にテニスやゴルフをしたわけではない。では何故何もしていないのに左肩に痛みが出るのであろうか。それは左肩に負担がかかったのではなく、他の場所の問題を訴えているだけである。ではその『他の場所』とは何処であろうか。こ…

年をとると何事にも驚かない

年配の方は戦争を経験しているから、多少のことでは驚かない。 何処かの国に原爆が落ちても、「昔日本にも落ちた」で終わり。 がんの末期と言われても、「もう十分長生きした、知り合いはみなあっちにいる」と言うだろう。 例え騙されて資産をなくしたとしても、「明日から漬け物と味噌汁で暮らす、昔みたいに・・・」で終わり。 知り合いが亡くなっても、「思いのほか早かった。私ももう少し。」と言うだろう。 事件や事故に…

腰椎椎間板ヘルニアとデパス

常連さんが腰が痛いという。近医で調べてもらったら、「腰椎椎間板ヘルニア」でレントゲン画像を見せてもらったが、我々から見ると特別ひどくない。「これなら我々の治療や医者から出る薬が効くと思います。心配ならMRIまで撮れば安心ですね。」と伝え、普通に腰椎椎間板ヘルニアの治療をしたが、「全く効かない」と言う。ではMRIを取りましょうという話になり、医師の診察を終えた後に患者に来てもらったのだが、患者が腰が…

昔その治療、効かなかったから・・・

患者さんとの会話で、「その痛みに対して○○というやり方はあります」と言うと、「昔、その治療やったけど効かなかったから・・・」と言われることがある。気持ちは分かるが、我々からすると人の身体は毎日変化していて、過去の常識がそのまま通用しないことはよく体験する。「昔はそうだったかもしれませんが、今の状態を見ると、やる価値はありますよ」と言うと、余りいい顔をされない。薬でもそうだが、体調と時期があり、一度…

常連客の有り難さ

これはある方から聞いた話だが、昔からなじみの中華屋があるという。子供の頃からしょっちゅう行っているので、厨房の中の様子まで手に取るようにわかるという。そこは夫婦でやっていて、夫婦仲が悪いと大将が勢いよく塩胡椒をするので、チャーハンが塩っぱくて、喉が渇くからビールをもう一本頼んでしまうと言う。そしてキャベツの切り方も雑でいつもの野菜炒めと違うという。常連客もそんな事は慣れていて、「明日か明後日のチャ…

咳が長引くと寝違いを起こす話

以前から、『「不眠症」「寝違い」「喉の痛み(喘息)」の反応点は同じ場所』と言っている。首の後ろにこりがあると不眠症何だか、寝違い何だか、喉の痛みだかわからない。今日来た患者は人生で最大級の首の痛みを味わったという。経過を聞いたら、咳が長引き、そのあと仕事が忙しく腕を使ったという。腕は以前から、「使い過ぎ」か「ストレス」でしか硬くならない。また自覚も出ないし、咳を止めるときに腕のツボを使う。結局、腕…

深掘りしない

昨日来た常連さんの太腿が少しおかしい。太腿は階段を駆け上がったり、自転車をこいだりすると硬くなるが、それ以外の理由は胃腸の問題である。お正月の後だったので、「食べすぎましたね」と言ったら、「いえ、先生の注意されていたので、そんな事はありません」と言う。確かにいつも言っているスタマックラインは硬くないので、食べ過ぎによる胃炎はなさそうである。ではどうして硬くなったのか。 話を聞いたら、「お正月はいつ…

原因を追求しない

今日来た少し症状が難しい若い患者さんが、「自分の辛い症状の原因を追求して・・・」という話をしていた。気持ちは分かるが、これには少し違和感を感じてしまう。理由はいくつかあって、「難しい症状は原因追求したってわかるわけがない」「原因らしきものを見つけても本当にそれが正しいかがわからない」と言いたい。捻挫や打撲なら原因と何が起こっているかがはっきりしているので全く悩まない。しかし頭の違和感とか、耳鳴りと…

病態解釈

すこし難しい言葉だが、わかりやすく言えば「身体の中で何が起こっているのか?」ということである。膝痛一つ取っても「炎症性」「腱の問題」「半月板の問題」「筋肉の問題」「骨の問題」「血管の問題」では治療法が全く変わってしまう。今は昔に比べて関節の中が手に取るようにわかるので、いくつもの原因を考える必要はないが、では画像で痛みが把握できるかというと、実はそうではない。画像に問題がなくても痛がったり、骨など…

去年と今年で別の身体になった社長

常連の社長が年末に相当根を詰めて仕事をして、全身の筋肉が硬い。その中でも自覚の出ない腕がひどい。以前から何度も言っているが、この腕に自覚が出ないことによって、自分の身体がどれだけやられているかがわからないので、これは本当に困った問題である。 年末でもあるし、その社長には断食を指導した。昨日全身を診たら、今までのこりがウソのように消えている。「断食だけでこんな事が起こるかなぁ?」と疑問に思い本人に聞…

5歳年上の姉と性格

今日紹介で来た40代男性は身体を触った途端、「あなた、男兄弟がいないでしょう。お姉さんか妹がいるでしよう。」と言ったら、「はい、5つ上の姉がいます。」というので、「そうでしようね。5才上ということは、お姉さんが小学校6年生の時に、あなたは1年生でしょう。お姉さんから見たら、いつも『この子』と思っていて、一生その感覚は抜けない。いろいろな場面でお姉さんに押さえられて生きてきたでしょう。逆らえないんじ…

喉や咳の時は腕のツボを使う

常連さんがインフルにかかり、40度の熱が出たという。医者で吸入してすぐに熱は下がったが、喉が痛いという。こういう場合、我々はよく腕を治療する。孔最(こうさい)・尺沢(しゃくたく)は咳止めで、合谷(ごうこく)は鼻炎、鞭打ちの後遺症は首を緩めるために使う。全てツボが、肘より下にある。喉の痛みだけなら駆風解毒湯が効くが、発熱や咳、鼻炎で首も硬いとなると色々なツボの刺激がいい。我々は慣れているので、呼吸器…

身体の中の人間関係

以前ブログで、「心臓と嫁の関係」を書いた。心臓を嫁に例え、「死ぬまで休むことをゆるされず、前は骨、後ろは食道、横は肺、下は横隔膜、狭いなかで働きづめ、しかし晩年人大きく(心肥大)なる」と書いた。今日来た方も普段は下半身のコリなのだが、あまりに下半身ばかりやっていると上半身がすねると思い、腕を診たらかなり硬い。本人に聞いたら、「最近は首の調子が悪く後ろを向けない」と言う。これはいいタイミングで腕を診…