症例

合いの手

仕事柄、体について何かいい話を聞かせて欲しいとはよく言われる。 しかしテーマを与えられると長年仕事をしている分、ある程度答えられるのだが、漠然と何かいい話と言われると中々出てこない。 一つの話をしている時も患者さんが上手に合いの手を入れると、しゃべりやすいのでつい余計なことまでしゃべってしまう。 この合いの手はいい治療を受けるために、患者さんにとって必要な術であると何時も感じている。 治療する側は…

病気ドミノ倒し

次の病歴はある患者さんの実際の年表である。 14才 虫垂炎 25才 帝王切開 27才 帝王切開2回目 30才 急性腎炎 32才 腎盂炎 36才 卵巣嚢腫 38才 子宮筋腫 54才 虚血性静脈疾患 60才 神経鞘腫 それに肥満、高血圧に高脂血症、肝機能が高く、痔と大腸ポリープ、右坐骨神経痛がある。 まさに病気の問屋さんである。 しかしこれだけ病名があっても私からすると根本原因は、「腫瘍体質」と「血行…

治療法は白黒つかない

先日、アトピー性皮膚炎でおみえになった方が、ステロイドを使っていたが、あんな物はすぐ止めろと言われて止めたらリバウンドしてしまった。 抗がん剤は毒だから使ったらおかしくなると言って、止めたらがんが増殖してしまった。 どうも世間では治療法に対して、白黒つけたがる。 グレーの話が殆どない。 これは困ったことである。 長年の経験から言えることは、「治療法は殆どグレー」である。 アトピー性皮膚炎もステロイ…

コンタックとヒップエレキバン

以前病院勤務していたときに、医者、看護師、薬剤師、付き添いさんまで、風邪をひくと売薬でコンタックを飲んでいた。 薬局からは定番の総合感冒薬PLがあるが、誰も飲まない。 コンタックの方が効くという。 長い間疑問に思っていたが、たまたまその製薬会社の方が来たので理由を聞いてみた。 答えは簡単で消炎作用の薬の量が多いという。 本来アメリカなどで使われていた物を日本に輸入した。 体重が100kgぐらいある…

なぜお酒を飲むのか

あまり偉そうに言える話ではないが、私も中年になってきて毎晩晩酌をして 医者に行くとコレステロールや中性脂肪が高く、気をつけて下さいと言われる。 この程度の晩酌ならと思いつつも、お酒が入ると食欲が出て満腹まで食べたくなる。 それも夜中に・・・。 人には減量を勧めながら、昔履いていたズボンが全く入らなくなっている。 お酒が原因とは分かっていたが、このままというのは悔しいのでなぜお酒を飲むのか考えてみた…

ベテランと子育て

気がついたらこの仕事を35年やっていて、すっかりベテランの域に入ってしまいました。 名人まではほど遠いですが多少経験を積んだ分、新人とは違うと思います。 では何が違うかと考えてみたら、待てるかどうかだと思いました。 例えば坐骨神経痛でも捻挫の後遺症でも、長年やっていると身体の本音が分かってきます。 そして身体が今はどういう時期で、これからどう変化するかも分かってきます。 ですからこちらは一番いいタ…

定年すると治療は増える

これは何人も見てきて言えることだが、今まで仕事をしながら通院していた方が、定年したらもう治療はいらないと言う。 しかし現実は逆である。 まず人が、「あなた暇でしょう。」という目で見る。 実際は暇でなくても人はそう見る。 今まで仕事していた時は言えなかったことを突然言われる。 「この会の会計なんだけど、今まであなたは仕事をしていて言えなかったんだけど、引き受けてくれない?」 こう言われると断りにくい…

何でも新しくすればいいというものではない

以前に70代後半のリウマチを患っていた女性が、股関節を一側だけ手術して人工関節にしました。 退院された後その奥様に、「お加減はいかがですか?」と聞いたら、 「手術した方は20才、していない方は75才。何か変。」と言われて返す言葉がありませんでした。 何でも新しくなれば良いというものではありません。 やがては70才代の股関節なんていうのも出るかもしれません。 以前勤めていた病院の外科部長がお茶の時に…

宥座の器(ゆうざのき)

夏休みを利用して以前から気になっていた、広島の世界遺産の厳島神社へ行ってきました。 見事なまでに潮の干満を計算しつくした大鳥居と鮮やかな朱色の回廊には思わず息をのみました。 周辺を観光していて宝物館の中に目を留めるものがありました。 宥座の器(ゆうざのき)です。 壺状の器が左右を紐でつるしてぶら下がっています。 器に水が入っていない時は傾き、ほどよく入れると真っ直ぐに立ち、入れすぎるとひっくり返っ…

T型人間とπ型人間

これは以前に聞いた話だが、横棒を一般常識、縦棒を専門職とするとT型になる。 一般常識だけでは社会で戦えないから、専門職を持ったT型人間になれという。 しか最近はこの専門職をもう一つ持ったπ型人間になれという。 この考え方は治療に活かせる。 横棒は体力や免疫などの基礎回復能力。 横棒は専門治療。それも2つ。 AがだめでもBがある。 言われてみれば当たり前のことだが、治療の現場ではここは気がつきにくい…

按摩泣かせ

細身の方から、「太った方は大変ですね。」と言われて、「とんでもない。太った方の治療は一番楽です。」と答えました。 いわゆる按摩泣かせは痩せた方で、特に下記の条件を満たした方は大変です。 太ったことがない 喉が弱い 鼻炎がある 風邪をひきやすい 噛み合わせが悪い 時々耳鳴りがする 頭痛持ちである 眠れない 精神的に安定しない アトピー性皮膚炎がある 胃腸が重い 便秘か下痢をしている 生理痛がある 足…

ミスコンではなく子供1人コン

世の中では未婚の女性が1番美しいとミスコンをやっていますが、仕事をしていますと1番女性が美しいのは子供を1人産んだ後です。 肌のつやと潤い、皮下脂肪のつき方、身体の線、満面の笑み、安定した精神状態、夢と希望に満ちた気持ち、必要とされている満足感・達成感、子供の寝顔を見て最高の至福感など・・・・。 どれをとっても1番きれいです。 子供の数も2人3人となってきますと、色々と体型的に崩れてくるので1人目…

鎖骨の痛みを荏胡麻と乳酸菌で治す話

当院では月に1度、Bi-Digital O-Ring Testの先生向けのセミナーを開催している。 たまたま前回の勉強会で海老名市から来られた先生から、 「患者の鎖骨の痛みが取れなくて困っている。何か知恵はないか?」 と相談を受けた。 患部の写真があり、確かに赤く腫れている。 経験上こういう場合は荏胡麻と乳酸菌が効くので勧めた。 質問された先生は「荏胡麻と乳酸菌?効くの?」といった感じだったが、今…

今のままでは今のまま

この言葉は以前、痩せるテレビコマーシャルか何かで、患者さんから教えてもらった。 何もしなければ痩せるわけがないという話だ。 先日がんのセミナーでゲルソン療法など食事に関する話が多かった。 ゲルソン先生は頭痛持ちで、肉、脂肪、塩分などを控えたら治ったという体験がある。 ナトリウムを摂るな、カリウムを摂れ、動物性タンパク質の禁止、糖分制限に、コーヒー浣腸と厳密にするのは大変かもしれない。 しかし今の身…

子供を花粉症にしないための9カ条

アトピー性皮膚炎や花粉症の子供を持つ親にアレルギーに関して色々とアドバイスをした。 最近、子供の衛生環境が良すぎるとアレルギー疾患の罹患率が高くなるという「衛生仮説」を裏付ける研究報告がなされている。 昔は青っぱなの子供がいて、学生服などは鼻をすすってテカテカであった。 我々の上の世代では蟯虫・回虫検査が当たり前だった。 そんな時代にもスギは飛んでいたが、花粉症などいなかった。 花粉症の季節に、都…

長患いの方の落とし穴

先日めまいと頭のフラフラ感が取れないという方が来た。 話を聞くと今まで耳鼻科と脳外、心療内科など15ヶ所ぐらい回って、それなりに病名はついているのだが全然改善しないという。 もうここまでくると、今まで診て頂いていない別のところに原因があると思ってしまう。 Bi-Digital O-Ring Testを使って身体の臓器の反応点や感染の具合を調べたら、子宮と喉の異常を見つけた。 聞いてみたら生理前は症…

時々は風邪ひくことの勧め

先日テレビを見ていたら、免疫学で有名な安保徹先生が、「インフルエンザなどひいた方が白血球が戦うから免疫は元気になっていい。」という話をされていた。 世界の中で日本は薬を使いすぎている。 諸外国の3倍である。 胃が痛ければ薬、熱が出れば薬、腰が痛ければ薬・・・。 私など滅多に風邪をひかないが、数年前に1度だけ高熱が出た。 測ったら39度台だったので、どうなるか様子を見ていた。 頭だけ冷やしてあとは絶…

妊婦治療のコツ

妊婦治療は「腰痛」と「足の浮腫」が主な症状だ。 しかし意外と妊婦治療は知られていない。 我々からするとこの2つしか症状を聞かない。 まず体重増加による重心の移動で、腰が痛くなる。 増える方は15kgぐらい体重が増える。 赤ちゃんは羊水を入れても5-6kgぐらいだから、少し食べ過ぎとは思うが、あれだけ後ろにふんぞり返れば腰も痛くなると思う。 次は浮腫だ。 これには理由があって、赤ちゃんは腎臓が機能し…

骨盤も人生も曲がる

仕事柄、「私の骨盤はずれていませんか?」とはよく聞かれる。 昔だったら正直に、何処何処がどうでここがこうなっていると馬鹿丁寧に答えていたが、最近は「骨盤も人生も曲がっている。」と答えることにしている。 これはある時、お花の先生の写真集を見ていたら、虫食いの葉っぱが生けてあった。 これは何かの間違いだろうと思って、先生に聞いたら、 「ただ美しい花ばかりでは面白くない。人は年をとると人生が虫食いみたい…

内圧について

身体から外に出るものは全て快感を伴います。 汗、眼に入った異物が取れたとき、鼻をかむ、涙、奥歯に物が挟まった時、喉に詰まった物、咳、痰、膿、尿、便、母乳、精液・・・。 この理由の一つは内圧が下がるからです。 脚が浮腫んだが汗や尿が出て楽になった。 赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれた。 ようやくトイレに入れた。 膿んでいたが膿が出た。 この内圧の考え方は大事で、食べ過ぎて胃が苦しいとき吐けば楽になりま…