症例

黒い膝サポーターとズボンの色

膝痛の方にはサポーターをよく薦めている。 サポーターの色は黒だから、目立つように白いズボンを履きなさいといっているが、女性は中々履かない。 こちらにしたら、「包帯でも杖でもつけているだけで『あ、あの人、足が悪い』とわかるから、身を守れる。」と言っているのに、いかにサポーターを目立たせないかばかりに気持ちが動く。 この心理がどこから来るのか考えた。 おそらく、化粧でも洋服でも、「いかに欠点を隠すか」…

仕事の決め方

以前師匠から、「自分に合う仕事はない。合うまでやる。」と教わり、成る程なぁと思った。若い方がよく、「この会社は僕には合わない。」と言っているが、やはりそれではいくら会社を変えても問題解決はしない。ではどうやって仕事を選んだらいいのだろうか。理想的には具体的にこの人のようになりたいという憧れの方がいて、その仕事を身につけるべく努力をして、そこそこまでいったら後は自分のオリジナルを出すのが一番早い。で…

若い時からのメンテ

患者さんの多くはある程度中年になり、若い頃と比べ体重が10kg以上増え、医者に行くとコレステロールや血圧、血糖値、中性脂肪などを指摘され始めた頃に、腰が以前のように治らなくなり来院される。 男性の場合は「男の38才説」と言って、「俺ももう少しで人生半分きた」と言いながら、治らない腰痛に「鍼を打てば何とかなるかも」という淡い期待を抱いてくる。 そういう方は腰痛の原因の一つが体重増加と知り愕然とする。…

どちらの意見を聞く?

常連さんと男性脳、女性脳についてしゃべっていて例え話をした。 「例えば何かすこし難しい病気について女性の判断は友だちです。『私の知り合いにその難しい病気が○○という治療で治った人がいる』と言われれば、ついその気になるのが女性脳。男性はテレビで△△大学の偉い教授が、『その難しい病気の治験は始まったがまだ臨床では使えない』を信じるのが男性脳。女性は『治った人がいるのだから、難しい病気の理由はわからなく…

枕のせい?

この時期、寝苦しくて朝起きて首が痛い、寝違いを起こす方は多い。話を聞いていると、「この寝違い、枕が悪いのでは?」と言う方は多い。しかし、枕を犯人にするのは、とても不思議な感じがする。最近新しい枕に替えたのなら、寝違いがあり得るが、今まで長い間使っていて何ともなかったのに、突然枕のせいにされては枕は怒る。これを人間関係で当てはめれば、これまで仲の良かった夫婦が、突然ご主人が体調を壊したとする。その時…

棘から包丁へ

以前から、「病気というのは身体に棘が刺さったようなもので我々には棘が見える」という話はしている。 しかし中々この話の真意が伝わらないので、最近は「棘を包丁」に変えてしゃべっている。 「あなたの膝の痛みは太腿に包丁が刺さっているようなものです。僕らは治療家ですから包丁が見えますが、皆さんには見えません。包丁が刺さっているのに、『薬を色々と替えたけど痛みが取れない』とか、『塗り薬も効かない』『膝を温め…

何もしていないのに・・・

最近の患者さんは脛が硬い。 脛は以前から硬くなる理由が、「冷え」「歩きすぎ」「胃腸障害」「ストレス」と言っているが、殆どの方は、「冷え」である。 これだけ寝苦しい夜が続くと一日中エアコンを使わざるをえない。 寝る時に短パンなどの薄着でエアコンの風が皮膚に直に当たれば、気化熱で思いのほか身体は冷たくなってしまう。 冷えた身体をリセットするには、「発汗」しかないが、今の時期、シャワーだけという方は多い…

慢性腰痛と鬱病

慢性腰痛で通っている人が突然股関節が痛くなったという。色々と関節を動かしてみたが全く痛がらず、関節の中というよりは周辺の筋肉が硬い。もちろんレントゲンやMRIで調べなければならないが、慢性腰痛をほったらかしにして、周辺の筋肉(お尻周辺)まで硬くなったことが原因のようにのように思えてきた。この方は以前から逆流性食道炎があり、ぎっくり腰の時は来るが辛くならなければ来ない。「胃をちゃんと治さなければ腰は…

挫折したら・・・

以前、挫折に関して色々と書いた。この年になると若い方の挫折知らずは怖くて見ていられない。順風満帆はあり得ないことで、「人生3つの坂」でも書いたが、「まさか」は世の常である。では今までに体験したことのない挫折はどうやって乗り越えたらいいのだろうか?若い方は、「こんな経験初めて」と必ず言う。楽しいことがあれば喜び、悩みがある時に落ち込むだけでは動物と余り変わらない。では「まさか」が起こった時の考え方で…

病気をカテゴリーで考える

長年仕事をしていると、「あそこのリハの先生は医者で治せなかった肩の痛みを治した」「腰の専門家でも治せなかったのをあの先生は手術で完治させた」という類いの話はよく聞く。これは皆さんが病気を一つのもの、カテゴリーで考えているからこういう話になってしまう。まず関節の痛みなら痛みの原因が「関節の中にある」か「関節の外にある」で変わってしまう。一般的に整形外科なら、「関節の中が酷くなっているから痛みは強い」…

先生から言ってください

仕事柄、「今の病気の話、主人にも言ってください」と言われる事がある。昔は「はい、わかりました」と言って伝えていたが、ある時からその家族の問題に巻き込まれ、懲りてしまった。間に入るのは夫婦だけではない。親子、兄弟、姉妹、学校の先生と生徒、社長と秘書、様々である。「先生から言ってもらった方が相手もちゃんと聞きます」と必ず言われる。しかし実際はどうも自分に都合のいい話だけを、私に言ってもらいたいだけだと…

1週間で改善した頭の働き

中学生時代から時々来ていた子が社会人になり、外資系の金融会社に就職した。しかし最近全く頭が働かなくなり、心療内科など何処で診てもらおうか悩んだ結果、母が通い慣れているところにまずは行ってみようということになり久しぶりに来た。昔から外交官になりたいという夢を持ち、抜群の記憶力で国立の有名大学を出ている。話を聞くと自分でも不思議なぐらい、頭が働かないという。話だけ聞いていると鬱病患者なので、頭の状態を…

介護と川柳

最近、母が高齢で入退院を繰り返している。 慣れない介護で色々と専門職の方から話を聞いたり、知らないことを調べていくうちにいくつか面白い川柳を見つけた。披露したい。 ・いつ死ぬか分かれば貯金使うのに ・生きがいは何かと聞かれ「生きること」 ・ルンバさえ越えてる段に足とられ ・付いて来い言った家内に付いて行く ・通帳に暗証番号書いている ・寝てるのに起こされて飲む睡眠薬 ・ペットロス主人の時より号泣し…

韓国料理と膝痛

常連さんのご主人が数ヶ月前に膝痛を訴えてきた。膝は以前から熱があると治らないと言っているが、典型的にそのパターンで数回の治療で改善した。「後は季節の治療で3ヶ月ぐらいしたら来て下さい。」と伝え、昨日診たら、まだ膝に熱がある。「膝に負担をかけましたか?」と聞いたら、「全くかけていない。」と言う。これはおかしいので、少し話を聞いたら、「すこし最近下痢気味です。出血したのて調べたら痔でした。念のため大腸…

身体は辛くないが、頭に鍼を打って欲しい

常連さんが最近少し仕事がきつく全身にこりがあったが、今日は全くない。「今日は筋肉の状態が実に良い。まるで仕事をしていない時みたい。」と言ったら、「少し加減している。そうですか。筋肉は硬くないですか。では頭に鍼を打ってください。」と言ったので少し驚いてしまった。この頭の鍼だが打つと、「オキシトシン」が出る事はわかっている。オキシトシンは「愛情ホルモン」と言われ、人や動物に対しての愛情が高まり、親密な…

風呂に入ると足がじりじりする

常連さんが風呂に入ると足がじりじりすると言う。温度を聞いたら、39-41℃程度でそんな問題はなさそうである。以前から、「風呂で下半身浴で発汗」の話は書いているので実行していた。左右差はあるか?風呂から出た後までじりじりは続くかなど色々と質問したが、全く問題はない。ではこういう場合はどう考えたらいいのだろうか。それは風呂に入ったぐらいでじりじりしない方が快適に暮らせるが、余程血管に問題(足の血管が詰…

知恵と創意工夫

腰痛で通っている女性の常連さんが、職場のエアコンがきつく、治療してもすぐ腰がつらくなると言う。勿論、カーディガンやレッグウォーマーなど当然やっているが、足らないという。こうなると何か保温だけではなく、加熱も考えないといけない。机の下にバケツにお湯を入れておくわけにもいかず、温度管理はビル全体でしているので、室温をあげてほしいと言っても通らない。以前ある会社で窓際の一番暑い所に暑がりの部長がいて、エ…

最後まで原因追及する姿勢

先日、私が脊柱管狭窄症を患い、足のシビレがあることは書いた。 お陰様で色々な治療を実験的に受けてほぼ80%は治った。 しかし右足のシビレが今一つ楽にならない。 この程度治ればもういいやという気持ちと、完治まで何とかしたいという気持ちが心の中で闘っている。 そんな時に自分で悪い側の股関節を動かしていたら、何となく違和感を感じる。 「もしかしたら、股関節と脊柱管狭窄症は密接だから、ここから何か突破口が…

患者の思い通りの先生

以前師匠から、「親の思った通りに子供は育たない。子供の思った通りの親になればいい。」と教わった。この教えは我々の仕事にも当てはまる。腰痛の患者が中々良くならない場合、患者は内心「ちょっとよそでも診てもらうか。」となる。そんな時、担当の先生から、「そんなの何処で診てもらっても同じ。行くだけ無駄。」と言われれば患者はしょげて黙ってしまう。しかし先生から、「それは良いことですね。ぜひ、その先生がなんて言…

肘痛とワクワク

肘痛で通っている常連さんが、うちで良くならず色々と医者を紹介したが、中々完治までいっていない。今通っている病院でも新しい治療法を検討中だが、高額なこともあり少し躊躇している。本人は、「治れば安いものだけど、治らないとなると他のことにお金を使いたくて・・・」と言う。話を聞いたら、新たに勉強したいことがあってそちらにお金を使うか悩んでいるという。「それはまず自分がワクワクする方にお金を使った方がいいで…