症例

意外と何とかなる

若い頃は病院や骨接ぎに勤めていて、保険治療ということもあり患者は毎日来る。 治療時間はかなり制限されるが、明日も治療できると思うと治療計画が立てやすい。 よく病院の待合で、「今日は○○さん来ないけど、どこが具合でも悪いのでは・・・。」とやっていた。 朝病院に来るのは日課で、来られないのは余程具合が悪いと患者仲間に思われている。 患者同士も毎日見る顔だから、皆顔なじみである。 そんな中、どの世界にも…

難しい妊婦の腰痛

仕事柄、妊婦さんは多い。訴えの殆どは、「腰痛」か「足の浮腫」である。以前は臨月ギリギリまで治療をやっていたが、最近は予定日より2週間ぐらい早いのが当たり前になっているから、臨月に入ったら治療は断っている。腰痛もお腹が大きくなったことによる重心の変化や足への負担なら治療は楽であるが、時々難しい方が来る。特に尻もちをついて尾てい骨痛や仙腸関節の問題などは、注意してやらないと治療後痛みが酷くなってしまう…

頭痛を我慢しておかしくなってしまった身体

よくメンテをしている常連さんが珍しく左のこめかみが痛いという。調べてみると左腕で異常に硬く、何をしたのか聞いてみたら何もしていないという。左肩も酷く、ヤダモン君まで反応している。前回(10日ほど前)から短期間できついことがあったのか聞いたら、何もないという。特にヤダモン君が気になって、「頭痛の時は薬は飲まないのか?」と聞いたら、「昔はよく頭痛があったが、メンテし始めてから殆どない、しかしここ数日の…

勝ち癖、負け癖

役者さんを治療しながら、「あなたは昔から治療しているから、ちょっと悪い所があれば毎回何とかなっている。これは幸運なことで、例えば今回の足の痛みが治らなかったとする。病院を何件か回っても良くならない。そうすると殆どの方は諦めてしまう。そして別の症状が起こっても治らなかったとする。そんな事が数回続けば、患者は『おれは昔から症状が出ると治らなかった。あの時も、この時も・・・・。その連続で落ち込みこういう…

「無理はしなくていい」ということ

どんな症状の患者さんにも、職業的に「無理はしなくていい。」と言ってしまう。しかし本音の部分では、「出来ることまでサボるということではない。」「多少の無理はして欲しい。」「サボり癖がつくと困る。」と思っている。例えば骨折の患者に、「痛みがあるうちは無理はしなくてもいい。」とは言うが、あまり安静を続けて筋肉が廃用性萎縮(はいようせいいしゅく-使わないことにより、筋肉が衰えること)を起こしては何もならな…

万全が良いとは限らない

マラソンをやっている方が坐骨神経痛や股関節痛があるのに、記録を伸ばしている。仕事柄、関節に問題のある方を診るが、万全だからといっていい成績が出るとは限らないようである。多少何処かに問題を抱え、それをかばいながら、工夫しながら、頑張らなくてはと言うぐらいの方がいい成績が出ているように思う。万全と言われれば、人間は安心してしまう。しかし何処かに問題があるとなれば緊張もするし、気も配る。そういう時に思わ…

電磁波と乳がん

以前右乳がんを手術した方が1年ぶりに左側に再発した。気になって再発した反対側に何か原因があるのではないかと思い、自宅を拝見したら左側に電磁波ヒーターが置いてあり、1日中電磁波を浴びせていたと言う。また別の患者さんはご自宅をオール電化にした途端、2年後にがんの気配すらなかったのが、乳がんが発症したと言う。以前より電磁波と乳がんの関係は言われているが、特に家庭の中ではIHヒーターを長時間使うことにより…

患者の感覚

今日来た患者は以前から眩暈(めまい)があり、メリスロン(眩暈の薬)を普段から持っている。ここ数ヶ月は調子が良かったが、最近又眩暈が出始めたという。こちらにしてみると、「メリスロン飲んだ?」と言いたくなるが、医者に行ったら作用の弱い薬しか出ず、飲んでも眩暈が治まらないという。なぜ飲まないのか聞いてみたら、「まだいいかなぁと思って・・・。メリスロンは持っています。」と言う。この言葉は患者さんがよく聞く…

女性の鼠径の痛み

50・60代の女性で鼠径の痛みを訴えてくる方は時々いる。主な原因は鼠径ヘルニアで鼠径の靱帯が緩み、腸の一部が飛び出る病気である。それで確定診断が出れば、手術で患部を開けてメッシュを入れれば治る。しかしヘルニアが出ていなくて痛みを訴える方もいる。MRIを撮り原因がわかれば良いが、わからないケースも多い。そうなると「大腿(太腿の前面)神経痛」位としか病名のつけようがない。坐骨神経痛なら何となく腰から脚…

足が疲れたら肩で歩く話

学会では先輩から色々とご指導を頂く。先日も、「俺も大分年を取ってきて最近患者に言うことがまるで坊さんみたいになってきた。お前も酒井雄哉大阿闍梨の本を読め。」と言われて読んでみた。酒井雄哉大阿闍梨は比叡山で2度、千日回峰行を達成した方で、長い歴史の中で3人ぐらいしかいないという。どんな内容なのか興味深く読んでいったら、「足が疲れたら肩で歩けば良い」と書いてあった。昔は歩くしか手段がないから、長距離歩…

二十歳より10kgほど太った女性達へ

以前男の38才説は書いた。男性の場合、33才ぐらいから身体が変化するが、気持ちは学生時代のまま5年過ぎる。40才を前にして、「俺も人生半分か。」などと言い、今までは薬局にいっても滋養強壮剤など見向きもしなかったのが、少し気になる。我々のような鍼灸・マッサージも自分の腰が良くならず、行ってみようかなぁと気になり始める。それが男の38才説だが、女性の場合は明確に38才に反応しない。理由はいくつかあるが…

人間万事塞翁が馬

学会では先輩から色々とアドバイスを頂く。特にお酒が入った懇親会では、「田中、少し俺の話を聞け。」となる。以前頂いたアドバイスで、「例えば患者が肩が痛くて注射を打って楽になったとする。君はどうする?」患者に、「よかったですね、嬉しいですよ。」と言います。「ではその後痛みが出たら、この間の満面の笑みが消え、悲しい顔をするわけ?」「え、まあ・・・・・。」「例えばがんの患者で血液データを医者が黙って暗い顔…

5つの夢

常連さんで激務をこなしている人が、耳下腺炎になった。耳下腺が悪いというよりは「過酷な生き方」と「休みがないことで身体が緊張しっぱなし」が原因である。交感神経優位で身体がリセットされないのである。耳下腺なので薬の準備など耳鼻科や歯科で出来ることやわれわれができることを説明した。あと大切なのは次の5つの夢を叶えることだという話をした。この方は仕事でボランティアの部分もかなりあると言う。 1.報酬を3割…

2年間止まらない咳

今日来た患者さんは2年間咳が止まらないという。何箇所も耳鼻科や内科、呼吸器科に行き、色々な薬が処方されたが全く効かないという。さすがに焦り、断食にアロマとやってもダメだという。ネットで調べ尽くし、上咽頭炎が当てはまることがわかり、EAT(Bスポット療法)を受けているという。そして、「上咽頭」「鍼」で検索されて当院に来られた。話を聞きながら知識の深さに驚いてしまった。何種類か効果のありそうな、「鼻う…

腸内停滞時間ととうもろこし

最近私のブログを読んで腸の問題でくる方が多い。食事のあと何時間で身体の外に出るのだろうか?それがわかれば良い便が出たときに、「あの夕飯のおかずが良かった。」とか、「辛いものを食べたら酷い目にあった。」というのがわかる。便を見てもいつの食事の分だかわからないが調べる方法はある。それはとうもろこしを使う方法である。 尾籠な話で恐縮だが とうもろこしの粒皮は硬くて不溶性食物繊維が多く含まれるため人間の腸…

検査に出ない足の治療

常連さんが足が治らず困っている。レントゲンや検査をしても何も出ない。痛みがあるわけではないが、運動で足を使うと明らかに右と左で差が出るという。こういう場合は鍼灸の適応になるが、灸が合わず、鍼は効くが時間が経つと完全に元に戻ってしまい改善の雰囲気がないという。こういう場合はどうしたら良いのかと聞くので、「考え方としては検査で何か出れば一番いいのですが、血行不良ならサーモで出ますが、機能不全は出ません…

医者と喧嘩

仕事柄、患者が医者と喧嘩したくとも出来ないという話をよく聞く。 「今診てもらっている先生はパソコンばかりでこっちの顔を全く見ない。」 「膝が痛いと言っているのに全く触らないで、レントゲンとMRIだけで判断している。」 「なじみの歯医者がインプラントを入れないと診てくれない。」 「かかりつけの歯医者に治療代を全額支払ってしまったが、途中から気が変わって返金に応じてくれるか不安だ。」 「様子を見ましょ…

常連さんのぎっくり腰

数年前に腰痛出来た方が今ではすっかり治療するところもなく、いつもメンテでお腹と脚だけ揉んでいる。昨日来たときに、「先生、大変なことが起こった。スポーツジムでいつもは脚の筋トレを10回しかやらないのだけど、試しにと思って15回やったら腰が痛くなった。大変だ。」という。我々の感覚でぎっくり腰と言われたら、「歩けますか?」「立てますか?」「寝返りうてますか?」「来られますか?」なのだが、いつも通り普通に…

そんなに厳しく言われなかった

常連さんの場合、血液や他の検査データなどはうちでも管理している。時々データを見て、「あれ、この数字上がっているけど医者から注意しなさいと言われたでしょう。」と言うと、「言われたけど、少し注意すればいい程度しか言われていない。」「そうなの。でも数字から見るとちょっと本格的に取り組まないと良くないけど・・・。」と言うと、「医者からそんなに厳しくは言われたなかった。」と言う。この医者の言葉というのは何と…

病院内の伝達

常連さんのお母さんが膝が治らず困っているという。身体を診たら治療効果を全く感じない。「今病院で受けている治療は効いているのですか?」と聞いたら、「実は全く効いていないのです。これには理由があって、整形の医者に診てもらってその先生がリハビリの先生に指示を出すのですが、その整形の医者が殆ど膝を診ず、適当に指示を出すものだからピントはずれの内容なのです。リハビリの先生はわかっていて、『これでは効きません…