2004年1月11日 第3回発表資料

清水「足底アーチの痛みの原因」
田中「ある物を見た時に現れる病気のネットワーク」
花田「体幹の働きを蘇らせたい-肩の障害③」
村田「クラニュアルの評価法のひとつより」


 

ある物を見たときに現れる病気のネットワーク          東洋鍼灸院 田中俊男
ある物を見たときに突然現れる病気のネットワークがある。本来カメラマンなのにdesk workをさせられ、
何時間も好きではない仕事を続けると思いもよらない症状が出てくる。本人気がついて手を打っていれば
いいが、ほとんどの人は病気が相当悪化するまで、どう手を打っていいのかわからないのではないか。
患 者: ♂ 30才
報道カメラマン
主 訴: 2か月ほど前より頚が痛み出し、左肩こりと全身の激しい疲労倦怠感。いくら寝ても疲れがとれない。
診 断: 病院にて慢性疲労症候群(Chronic fatigue syndrome)かQ熱ではないかとの診断。

初 診: 左の足の三里に異常反応がでていて、治療するとすこしいいと言う。
主訴の箇所に弱い刺激でも痛みが起こり何とも治療しづらい。
今はツムラの41(補中益気湯 )のみ飲んでいるという。
詳しく問診をしてみると、ここ2年ほど、desk work に追われ、本来バイクで取材に飛び回っている
のが好きな性格なのに、未読mailに追われ、それが辛くて会社に出勤できないとのこと。

治 療: 体の中で何が起こっているかわからないので、「全身の状態とネットワーク」を調べた。
1.足の三里のこりが気になったので、胃を調べてみるとやはりマイナス。
2.胃の治療と足の治療で肩こりが半減した。
3.ところがそこから一向に良くならず、「眼からの情報の違い」により何か反応しているのではと思い、
事故の写真とコンピュータを見せてどう頭が反応するか確かめた。
4.事故の写真を見せると、こりのネットワークがなくなるのに、コンピュータを見せるとこりの
ネットワークがでてくる。
5.これではどうにもならないので、「会社やめて独立したら・・・」と話をしたところ、
数ヶ月後に独立して体も回復し、全身倦怠感もなくなってしまったということです。
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考 察: 病気のネットワークが出ていないときには調べようもなく、治療法もない。
どんな条件を与えれば症状が出てくるのか、問診の場面で詳細に聞く必要がある。
それを怠ると訳のわからない病名をつけられ、本人にいらぬ不安を与えてしまいます。
仕事だからといってつらい環境にさらされ、病気のネットワークが出てきてどんどん悪化するケースは
相当多いと思う。
自分の好きな環境で生きられるのは本当に幸せな事だと思う。


 

体の動きを甦らせたい ―具体例を考える―  (肩関節障害シリーズ③)   花田

前回は「肩の動きを改善するには体幹へのアプローチが重要なのではないか」という内容であった。

そこで今回は実際の治療で行なった中で、成績良好と感じた例を挙げてみる。

東洋鍼灸院においては現在継続的に五十肩の症例に携わっている事はほとんど無いので、

別に勤務している整形外科において行なっている事である。

一回あたりの手技の治療時間は10分。手技の前にはMicrowave照射(10分)がある。

患者情報・・・40代女性 左肩の運動制限(発症して半年ほど放置していた) ほぼ毎日通院。

※今回は特に体幹に関する箇所に限った治療例を挙げる。

問題の体幹の固さであるが、左側が明らかに固いく動きも悪い。最初から固かった面もあるかもしれないが、肩の運動制限が進行した事によって余計に悪くなったように感じる。

image002 左図のように身体を捻ると青線領域に制限と痛みあり(左>右)。

【治療の流れ】

伸展(動きと痛みの確認)→マッサージ→伸展(兼動きと痛みの確認)→マッサージ→反対側へ

反対側も行なうのは、伸ばすと同時に縮めるのも重要と考える為。

(腸腰筋・腹直筋の伸展や肩周囲への直接的な手技も行なう)

内・外腹斜筋、広背筋、腸腰筋、腹直筋、殿筋群

時間の都合もあるので、実際は確認作業と治療は同時進行が多い。

また、毎日行なえるわけではない(肩周囲へ重点を置く場合もある)。

充分な検証はできていないかもしれないが、劇的と言わないまでも一度の治療後の「楽になる感じ」と「可動域改善」は見られる。

【補足】

image003ii一般的な生活だと体幹を大きく動かす事は少ないので、左図のような肩甲骨の動作も日常の中で行なうように

指導している。横から見て大きく回転するように。腕の挙上が辛い場合、自己で行なうには有効な方法。

身体への意識付けができれば予防にもなる。

 

肩から始まり目を広げていくと、広範囲に渡るアプローチが必要になってくる。

五十肩予防に水泳が良いと言われているのは、肩関節を動かす効果だけではなく、背部(体幹)も含めた筋肉の充分な使用によるところが大きいからではなかろうか。


 

クラニュアルの評価法のひとつより

頭蓋骨への弱刺激による自律神経へのアプローチを主とする治療法のなか で、問題のひとつが「評価が主観的である」ということがあります。しかし、それ故に施術者側はきわめて微細な状態の変化を『感じ』ようとします。そして、 主観的であると同時に、相手にもわかる反応がいくつか現れることがあり、その中のひとつを「追えれば」と思って普段の指圧治療の時に見つけた、パターンと 思います。

 

クラニュアルでの治療時の反応:突然、眠りに落ちる。

:いびきをかき始める。

 :拍動感の出現と消失  

指圧時

小円・大円筋       手関節周辺

斜角隙周辺        坐骨周辺

* 感覚があるのは今のところ上記の2つ。

同じ人物の同部位でも、症状が起こせる事とそうでない事がある。

  • あくまでも主観的ではあるが、“あがり”はまるで違う

(が、患者さんにも実感があることが多い。)