少し足らないぐらいで丁度良い

最近は、「人生100年」という言葉をよく聞く。
以前は、「人生50年」だったから大変な変わりようである。
60才ぐらいで定年してその後40年、どうやって生きたらいいのだろうか。
経済的な計画も狂ってしまう。
仕事柄、生涯現役の方や余生を楽しんでいる方など色々と診るが、いつも感じるのは「少し足らないぐらいで丁度良い。」ということだ。
現役の方ならいつも仕事で何かを追いかけていて、満足するということはないからいつも足りないと感じている。
「娘がね・・・、孫がね・・・、この病気さえなければね・・・。」と足りないと言っている方達の方が元気である。
時間とお金が自由になり、現役の時に憧れていて「釣り」「ゴルフ」「旅行」三昧の方はそれほど嬉しそうには見えない。
釣りも漁師ではないのだからいくら釣れたところで、家族や友達が喜んでくれなければつまらない。
ゴルフも楽しく続けられる方は現役時代から続けていた方で、定年後突然始めた方は殆ど継続していない。
旅行も現役時代から時間が出来ればどこへでも行ってしまう方はいいが、そういう習慣のない方は月に一度何処かへ行くだけで疲れてしまう。
毎月、海外旅行など出来ない。
結局定年後は少し外食したり、数ヶ月に一度2泊3日で近場に行くぐらいで生活している方が多い。
患者さんを見ていると時間とお金があっても、そう生活スタイルは変わらないものである。
結局、「もう少しこうなったら良いなぁ。」とか「これができたら良いなぁ。」と愚痴を言ってくるぐらいが丁度いい。
定年後、夢のような生活がようやく来たと言っている方を見たことがない。

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