虚の話

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これは以前、華道家の先生から聞いた話だ。

生徒「私達は先生に長年ご指導頂いていますが、先生はどんどん自分だけ進化してしまう。何が違うのでしょうか」

先生「あなた方は『陽』を生けている。私は『虚』を生けている。何度あなた方に『虚』を教えても、中々実践出来ていない。この『虚』が生けられなければ上達はしない。」

これは大分前に聞いた話なので、その時は意味が分からなかったが最近になってやっと少し意味が理解出来るようになってきた。
我々の技術、例えば指圧は「押す」のではなく「引く」のである。
これは言葉遊びになってしまうが、『陽』の刺激で押せば患者さんは引いてしまう。
『虚』の刺激を与えれば、身体の中から色々と出てくる。
悪い物を出せば身体は治る。
音楽でもあまりガンガンやられると引いてしまうが、『虚』の音楽は引き込まれる。
我々の究極の目的は患者さんの中にある悪いものを出し、中に眠っている本人も気がつかないような能力のスイッチを入れることにある。
ガンガンやっては出るものも出なくなってしまう。
だから指圧は「押す」のではなく「引く」のである。
これは是非体験して頂きたいと思う。
この技を使って、身体の中から悪いものが出てくるのをいつも我々は待っている。

2015年8月1日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中