背中の痛みとババ抜き

背中の痛みの酷い方が鍼が効き、気分が良いという。これは治ったわけではなく、ただ感じにくくなっただけである。触ればしっかりこりはあるし、少し強めに押せばやはり痛がる。こういう場合、ババ抜きの話をする。背中が痛いと言うことはそこに大きなババがあるようなものだ。鍼でそのババが違うところに行った。背中はババがないので痛くない。本人は治ったという。しかしそのババは小さくなって何処かに行っている。頭、肩、首、お腹、腰、足、膝・・・・。何処に行ったかはわからないが、間違いなく何処かにいる。こういう経験を長年していると逆算して何処に行くかを前もって予想して、行き先で暴れないようなことをする。そうすると患者さんは、「前回やってもらって治った。その後何処も痛くない。」と言う。しかし何処かにババが行くのを許してしまうと、「背中は痛くないが、今度は頭が痛い。」となる。ババは消えないので、いかに分散させるかが腕の見せ所である。長年の経験で知恵がある。

 

 

image_print印刷する