血液を採ると必ず、○○の数字が高いとか低いとか言われる。昔は正常値と言っていたが、最近は基準値という言い方をしている。枠に入らないといかにも正常ではない印象を与えるからだ。しかしこの統計、若い方をサンプルにして100人並べ、上2.5%と下2.5%を除いた95%の値に過ぎない。若い方でも5%は初めから枠の外になっている。年寄りになれば当然、基準値から大きく離れる。仕事で色々な方を診ていると、兎に角、枠にはまらない方は多い。「○○で診てもらって○○がおかしいから、○○は止めた方がいい。」と言われたとか、「○○の数字が高いから、○○を始めなさい。」とか、あくまで基準値から判断しての話である。本日も初診時にあまりに脚の状態が良くなかった方が、マラソンをしたいというので、こちらが無理だと言ったら、東京マラソンを完走してしまった。本人もビックリだが、こちらもできるわけないと思っていたからビックリである。その方には、「あなたは前例があるから他の先生に○○がダメと言われてもまずはやってみなさい。出来ちゃうかもしれない。やってだめならそこから考えれば良い。あまり専門家の意見を聞きすぎない方がいい。今まで枠にはまらない方は沢山見て来た。間違いなくあなたはそのタイプ。自分でやった後で考えれば良い。」と伝えた。不思議なもので枠からはみ出ている方は、何をアドバイスしてもはみ出ている。段々こちらも自由にしなさいと言いたくなってしまう。こう言う方が5%に入っている。
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