自力で治した鬱病

1年前に母親に連れられて学生が鬱病で来た。鼻炎や顎関節などの問題があったので、どうすれば良くなるかの治療法の話だけしてその後来なくなった。どうしているのかと思っていたら突然来て、「何か調子が良いんです。調べて下さい。」という。Bi-Digital O-Ring Testを使って調べたら、殆ど正常値、治っている。特にセロトニン(幸福物質)の値が異常に高かったので、「どうやって良くなったの?」と聞いたら、「何もしていないんです。頭で色々と考えて、世の中こんなものかなぁという感覚になったんです。探し求めても答えがないことに気がつきました。納得と言うよりは諦めみたいな感覚です。自分自身のアイデンティティーはないと思いました。」何とも坊さんみたいな事を言っている。「では聞きますが、「諦める」には普段使う、『どうしようもないからやめる』以外に、もう一つの意味があることを知っていますか?それは『物事を明らかにする』という意味です。未練たらしい言葉ではないんです。決断という意味です。あなたが今しゃべった内容は僕位の年齢になるととてもよく理解出来るないようですが、24才ぐらいでそれを自力でつかむというのはもの凄いことです。まるで哲学者。悟りを開いたみたいな感じです。教えてもらったって分からないのに、試行錯誤して考え抜いて掴んだのですから本物です。その心の満足感がセロトニンに出ていると思います。あなたはもう治っています。今後やるべき事は金を稼げる人間になって、両親に美味しいものでもご馳走して安心させてあげる事です。今回あなたが悟った内容に比べれば仕事でお金稼ぐことの方が楽です。では当院は準卒業ということで・・・。」「え・・・、もう良いんですか?少しはいいと思っていたのですが、治っているんですか?」「治っています。」「でも再発はないんですか?」「再発するかどうかは今後なので分かりません。予防ということでしたらEAT(Bスポット療法)、マウスピース、乳酸菌、荏胡麻をやっておくといいでしょう。再発の確率をかなり下げられます。」「これで終わりですか?」「終わりです。どうしてもというならマウスピースを作った後でもう一度ぐらい見せに来て下さい。今よりもっと数字が良くなっています。」「そうですか・・・。」私も経験したが若い時の不安はとてつもなく大問題である。過ぎてしまえばどうということはないのだが、渦中は絶望に近い。普通、鬱病の治療は患者さんと試行錯誤で色々な道を探していく。どうしてもカルテが厚くなり、毎回実験をしているようなものである。治療が進んでいく中で原因が見えてきて、何とかなるものである。こういうケースは稀だとは思うが、世の中には自力で悟れる人も時々いる。

image_print印刷する