患者の欲しい説明

長年この仕事をしているとどうしても、説明を簡単に済ませてしまうところがある。今日、腕を使いすぎた方が、「肩首まで痛みが拡がり、医者に行ったら血圧まで高い。首の前の所を押すと肩甲骨まで響く。」と言う。我々からしてみると腕の使いすぎは腕自体に症状は出ないが、簡単に肩や首の痛みを起こす。痛みの状態が続けば自律神経は興奮して血圧を上げる。首の前の所というのは「腕神経」と言って腕に抜ける神経の通り道である。そこを押さえれば、神経の一部が肩甲骨まで行っているので、炎症がある時は当然響く。我々からすると当たり前のことしか起こっていないのだが、患者は不安になる。「首の前の所を押すと肩甲骨まで響く。」と言われて、「腕神経ですから。」とこれだけで説明を終わってしまったが、正確には、「腕を使いすぎても腕自体には反応は出ません。首や肩にはすぐに反応が出て、痛みを耐えると自律神経が興奮して血圧を上げます。そうなると腕に行く腕神経が興奮して、少し触っただけでも神経の行き先である肩甲骨にも感じます。これはほおっておいても治りますが、治療をすれば早く治ります。痛みが治まると自律神経が落ちついてきて血圧を元に戻します。現段階で心配することは何もありません。少し手を使わないようにすればすべて治まります。」と言うべきだったかも知れない。

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