華道でも茶道でも何でも「道」とつけば、技術だけでなく、その心を教えることが大事だと思っている。例えば踊りで舞う技術をいくら教えても、お客さんから感動は起こらない。花を活ける技術でもなぜか、心に響かない。歌でも芝居でも何でも同じである。「道」を教える先生が何人か来ているが、「弟子に心を教えるのがとても大変。技術をいくら磨いてもものにならないし、心が大事と何年教えても身につけようとしない。教える側も嫌になってしまう。」とこんな愚痴をよく聞く。昔からこういう話を聞く度に、教える側が自分の心を傷つけないことが大事だと思っている。教えたり、怒ったりすることはとてもエネルギーがいる。そして本人身につける気がないとなると本当に疲れる。教える側はヘトヘトである。しかしヘトヘトのままでは仕方がないので、こういう状況でもさらりと流す訓練をする必要がある。以前ある社長から聞いた話だが、「大阪までの新幹線の切符を秘書にとってもらってチケットを見たら、名古屋までと書いてある。それを友人の社長に言ったら、『そんなのまだいいよ。俺なんか秘書がドイツとフランスを間違えて飛んだことがあった。飛行機の中で何でこれに乗っているのだろうと悩んだ。名古屋なんかまだかわいいほう。』」不幸自慢ではないが、世の中には上がいる。そんな酷い話があるんだと思えば流せる。この流す訓練はとても大事なことである。
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