本当のことはわからない

ご紹介で膝痛の方が来た。松葉杖でいかにも痛々しい。レントゲンの結果を聞いたら異常はないということなので、定番のリハを何度かやったが、今一治りが悪い。こういう場合は何か見落としがあるので、「MRIを撮ってきて下さい。何か出ても不思議はないですよ。」と言って撮ってきてもらったら、「レントゲンを撮った先生に言ったら、MRIを撮ってくれて『少し膝の後ろに異常があるから少し安静にして下さい。』と言われた。」と言う。患者さんにしてみたら、レントゲンを撮って異常がないって言ったじゃないとなるだろうが、レントゲンででないものは沢山ある。これで治療方針が決まりその後順調に治癒まで至った。実はこういう事はよくある事で、始めにレントゲンで大丈夫と言われても我々は余り信じていない。内心いつも「身体の中で実際に何が起こっているかは、開けなければわからない。」と思っている。治療方針が正しければ結果がちゃんと出るはずだが、見落としがあれば治らない。結局、「本当のことはわからない」でやっているのである。自分で正しいと思っていても結果が出なければ間違っている。「本当のことはわからない」だから色々と疑ってかかるという姿勢が大事である。

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