常連さんが今年の初めに転んで足を痛めたという。話を聞いたら、「転んですぐ足のレントゲンとCTを撮ったが医者が患部を触りもせず、『大丈夫です。』と言われ、そのあと数日してから足の指に痛みが出て、どうもおかしいので先生に、『ここが痛いんです。ここです。』と言ったら、そこを詳しくレントゲンで撮って、剥離骨折がわかったという。それから少しして今度は左胸が痛くなったので、近医に行ったら『CTまで撮っているのだから、大きな問題はないでしょう。おそらく肋骨の骨折でしょうから固定具を渡すので固定して下さい。』と言われ、固定したらものすごく楽になった。」と言う。患者にしてみれば初めにレントゲンを撮る時に詳しく触診をしてくれればすぐに骨折のことはわかったはずなのに、あとでこちらが訴えるまでほったらかしが納得いかないという。確かにそうである。その時は肋骨は痛くなかったそうなので、おそらくそのあと腕を使い、肋骨が歪んで激痛になったものと思われる。患者は「CTまで撮って肋骨骨折がわからないのですか?」と言うが、肋骨骨折はCTではわかりにくいものである。先日来た患者もくじいて足のレントゲンを撮ったら、折れているようには見えない。しかし角度を変えて撮ってもらったらはっきり映っていた。剥離にしても肋骨骨折にしても見落としはよくあるのが我々の常識である。患者の不満は「触診をして調べなかった。」「CTを撮れば何でもわかるだろう。」であるが、ればたらで物を言えば、「初めに足をよく触診して患部を確認して、肋骨も圧迫したりして調べていれば、こういう事は起こらなかった。」である。肋骨の痛みが左側の場合は心臓がおかしくて反応することもあるので、心電図ぐらい必要である。あとは転ぶとよく首を痛めるので手の握力や感覚、膝頭の傷などを見てくれれば満点だったと思う。
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