お人好しで遅れる医療

最近はブログを見て来院される方は多い。今受けている医療に何となく不都合や不満があるのであろう。人によっては、「よくこれだけ我慢されましたね。」と言いたくなる方もいる。そういう方達の特徴はただ一つ、お人好しである。「この先生にお世話になったから・・・。」「もう少し信じてみよう。」「あそこの病院は混んでいるから・・・。」と治療効果が出ていないのに通い続ける。先日、我が家の猫が連日吐いて、グッタリしたので医者に連れて行ったら、中々原因特定が出来ない。診察の様子を見ていて確定診断できていないとわかった。たまたま常連さんとそんな話をしていたら、「あそこの動物病院の先生は名医、連れて行ったら。」とアドバイスを戴き、連れて行って検査をした途端、吐いた原因がわかった。こんなに違うものかと改めて驚いた。うちの猫はよく脱走するので捕まえるために、マタタビでおびき寄せて捕まえる。そのマタタビが腸管に詰まって腸閉塞を起こし、黄疸まで出てしまった。当然開腹してマタタビを摘出して戴き、その後順調に回復。適切な医療とはこういうものである。その先生と出会えなければ猫は死んでいた。まさに命の恩人である。それをいつもまでも「あの先生には義理がある。」とか「今までお世話になったから。」では良くならない。ではどう判断したら良いのであろうか。名医は先のことを言う。「今回のこの治療で○○が良くなります。その後は△△です。6ヶ月後に□□です。ダメなら○○が必要です。」と必ず先の見通しを言う。駄目な先生は「もうすこし続けて様子を見ましょう。」と言う。患者からすると、「先生、もう数年様子を診続けています。」となるであろう。ではどれくらいで見切りをつけるべきか。およそ100日だと思う。以前、治療のゴールデンタイムでも書いたが、このまま続けて大丈夫だろうかと普通思うはずだが、お人好しはもう少しこのままという判断をしてしまう。性格が災いしてしまう。最近は「医者を選ぶのも寿命の内」と言われているが、どの先生とご縁があるかで決まってしまう。「見切り千両」ではないが、この仕事は結果を出せなければ意味がない。友達同士のお付き合いならお人好しはいいが、医療に関しては「的確性」以外、人は救えない。

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