「ちょっと診て欲しい」と言われて

仕事柄、「ちょっと診て欲しい」とはよく言われる。
しかし最近は骨折が3人、変形性股関節症、肺炎、肩関節の石灰化、膝の滑膜炎、掌蹠膿疱症、乾癬、蜂窩織炎と立派な病気の方ばかりである。
少し足をくじいたぐらいなら医者に行かず、足を揉んで貰うぐらいでいいだろうと思う気持ちはわかるが、あまり痛みが取れないのであとでレントゲンを撮ったら、「骨折していました。もう大分くっついています。」と言われた方もいた。
そんな経験を何度かしていると、「ちょっと診て欲しい」と言われても、「検査してから来て下さい。」と言うことにしている。
中には「心臓と首はレントゲンを撮って異常なし。だから先生のところへ来た。」と言ってくる方もいる。
そうなるとこちらも原因の絞り込みが楽である。
「○○と△△は考えなくてもいい。だから□□が関係していると考えて間違いないだろう。」となる。
しかしそれでも全部治せるわけではない。
最近は肩の痛みの酷い方が続いていて、検査しても異常が出ず、我々の手に追えない場合は「モヤモヤ血管」を疑っている。
モヤモヤ血管とは正常な血管以外に何か病気になったときに異常な血管を作ってしまい、それが痛みの原因になってしまう事がある。
治療法はそのモヤモヤ血管に対してある抗生物質を入れ、塞いでしまえば痛みはなくなる。
まだまだ知らない方が多いだろうが、「ちょっと診て欲しい」と思っていたら、かなり大げさな治療をしなくてはならない方もいる。
患者さんの「ちょっと」は、我々にとって「ちょっと」ではない。

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