腸にお伺いを立てる話

今の時代、食べて健康になる方法など殆どない。
しかし患者さんは必ず、「何が足らないでしょうか?」と聞く。
これだけメタボといわれている時代なのに補おうとする。
以前確か東北大学の論文で、「今の日本人の食事を昭和40年代にすればメタボ関係の病気(高脂血症、糖尿病など)は殆どなくなる。」と書いてあったが、当時は朝は目玉焼きに漬け物ぐらい、鯵などあると豪華に感じた。昼はそば、夜は焼いたシャケにサラダ、そんな程度であった。
寿司はご馳走で月に1度食べられるかどうか。
ショートケーキは年に2回、自分の誕生日とクリスマス。
今みたいにコンビニはないし、手軽に買うことは出来なかった。
病人の見舞いに卵(栄養価が高い)を持っていった時代である。
今は何時でも寿司は食べられ、毎日でもショートケーキは買える。スイーツなどという言葉も出来、豪華な食事と過食で脳が麻薬中毒になっている。
食べたい物を脳を基準にすれば、ただ太るだけである。
食べたい物は腸に聞くのがいい。
しっかりお酒を飲んだ後、ラーメンを食べたいか聞けば、脳は「食べたいといい。」といい、腸は「少し休ませてくれ。」と言うだろう。
腸はそれ自体で神経系のネットワークが完成している。
食べ物を目で見て美味しそうと言うのは結構なことだが、実際食べていいかの最終判断は腸に聞かなくては体調を維持できない。
当院では「腸と体調」と言っているが、本当は「体腸」である。

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