猫で大騒ぎ

うちにも野良猫がいるが、患者さんでも猫のこととなると皆大騒ぎである。外の野良猫だと寿命が5-6年しかないそうである。家猫だと15年ぐらいは生きる。以前、黒澤明監督の映画で「まあだだよ」というのがあった。

内容は主人公の内田百間先生が大学を辞めて文筆業に専念する。かつての門下生の助けをかりて下町の一軒家に引っ越す。百間先生は人気があり、いつも先生を慕う多くの門下生に囲まれていた。やがて戦争になり、東京大空襲で我が家を失い、貧しい小屋での生活が始まる。終戦後はかつての門下生の支援を受け、小さいながらも新居を得る。そして新居に野良猫が住みつく。しかしある日突然猫がいなくなってしまい門下生たちは必死に探すが見つからない。その時の百間先生の落ち込み方が凄い。まるでもう生きていく気力を全てなくしたようだ。

当時はこの映画を見て、そんなに猫のことで落ち込むものかなぁと思っていたが、実際飼ってみると実によく気持ちは分かる。比べては申し訳ないが、親の死はある程度予測や覚悟が出来ている。しかし突然の猫の失踪は全く心の準備がない。飼っている方はみなそうだろうが、突然いなくなることなど全く考えていない。その心を黒澤監督は実に見事に表現したわけである。どなたも動物を飼っていれば皆大変である。普段は愛着があるが、旅行に行けなかったり、自分の寿命とペットの寿命を計算したり・・・。猫で大騒ぎである。

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