時にははったりも大事

大分昔、田舎で頭の良い女性が進学校の受験の時に途中まで答案用紙を書いていたら後ろの方から、「全部かけた。満点。」という声がして、すっかり動揺して学校に落ちてしまった。実力的には楽には入れるところだったが、本番で実力を発揮できないとこういう事も起こる。今日来た高校の柔道部の子は明日久しぶりの試合だという。まあまあの勝算はあるらしいが、「もし色々な学校が集まる中、誰かが『コロナのおかげでこんなに稽古したことはない。』と言ったらどうする?」と聞いたら、「ちょっと動揺します。」と言う。「じゃ、自分から言ったら。」と伝えた。出来れば部活の全員で、「こんなに稽古したことは今までなかったよなぁ。コロナのお陰、今日は絶好調。」と言ってしまえば、他校の生徒は完全にびびってしまう。言われる前に言うのも戦略である。我々スポーツ関係の方を診ていると少し意地が悪いぐらいでないと中々勝てない部分はある。テニスなどは相手の嫌がるボールを返すわけである。意地悪がいい。昔ゴルフである有名選手が16番ホールを回ろうとしたら、「この16番、さっきの人は池ポチャ、その前の人は大きく外した。ここは皆崩れるんだよねぇ。」と聞こえてしまい、やはり大きくスコアを落とした。以前、ゴルフの帝王ジャック・ニコラウスはパットを入れようとしたら、物音がしてギャラリー全員が振り向いたのに、ジャック・ニコラウスただ1人が微動だにせず、パットを沈めたという。ここまで精神が出来ていれば良いが中々そうはいかない。時にははったりも大事である。

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